一人で何が悪い？ “消えた自転車は知っている編” 【立花彩成り代わり】探偵チームKz事件ノート (ページ2)

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「秀明ゼミって、入塾テストが凄く難しいっていってるけどさ。」
尖った声は、今井だ。
どうやら僕を意識して言っている。
「うちの親は、(中略)自分がいい顔したいだけでしょ。」
あなたの親とあなたの頭のレベルや価値観が可哀想と思い、中略してあげたよ。
ウサギ係のこと、まあ変わってあげたかったけど塾があったんだから仕方ないのにまだ怒ってんのか？理不尽。
反論するけど、自分の意思だし見栄ではない。秀明にいる人はそういう子ばっかり。知りもしないで最低だな。
でも、僕はそれを言わなかった。
嫌いなやつには関わらないのが一番。
今井はクラスのボスの一人。まわりには子分みたいな女子がいる。
ヒステリック起こして、めんどくさくなるから言わん。
僕は、目を合わせぬように教室を出た。多分、僕の悪口いいはじめるんだろうなあ。
まあ、どうせ親しくするつもりはないし。てか、できん。
一週間に四日に塾、ない日は勉強。
遊んでる暇はないない。
別に嫌われてても構わん。
それに、話あわんし一緒に居ても面白くない。
僕が今の関心事は進路、そして友達なんて要らない。
一人は楽しい。
でも、心に穴があいてる感じで……
やっぱりほんの少し、寂しいって
思ってしまうんだ。
あれこれ考えながら僕は、靴をはいて
昇降口を出た。
体育館の前を通り、グランドの隅の並木の間を歩いて、裏門をくぐり、通りに出る。
瞬間、キィッとブレーキの音。
「あぶねーっ!………え？」
『キ』の音が聞こえたときすぐ自転車をよけるように移動したのと、さっきまで自分が居たところに飛び出してきた、黒い自転車が横滑りし、乗っていた男子ごとひっくり返るが、同時だった。自転車ともつれるように倒れた男子は、もうちょっとで、後からきた別の男子たちの自転車にひかれそうになった。少しヒヤッとした。
でも、反射神経がいいのか、次々にブレーキをかけ自転車を止め、地面に片足をついた。