別の人の彼女になったよ【不死川実弥】

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見慣れたオフィス街には夕陽が差し込み町並みはオレンジ色に照らされている。

退勤のカードを通したら気が抜けたのか、どっと疲れが降りて来た。もう若くないんだな…2時間睡眠でいけるのは10代までだ…







(久しぶりだなぁ、バス乗るの。…実弥さんが迎えに来てくれる事が増えて最近全然乗ってなかった…。)






ピ、とICカードをタッチしてその車内に乗り込む。

丁度帰宅ラッシュのこの時間はいつもすし詰め状態で座れる事はほぼない。まあ今座ったら絶対寝るからいいんだけど。






『大丈夫ですか？顔色悪いですよ、席変わりましょうか？』

「へ、あ！ごめんなさい…全然大丈夫です！」






ぼんやりと吊り革を掴んで外を眺めていたら目の前の座席の女性が心配そうにこちらを見ていた。

そんな顔色悪いかな、なんて申し訳なくなって思わず謝罪を述べる。きつかったら代わりますね、なんて優しい言葉をかけてくれるその人は、フワフワと巻かれた栗色の髪に色白の可愛らしいお顔立ち。思わずじっと見つめてしまった。






(いかんいかん、オッサンと一緒だったよ今…。)






大きなキャリーケースを持ってるけど、旅行？いやこんな所にそれはないか…観光地とかないし。帰省かな？なんてぼんやりとした頭で考える。






ーーピロン！


鞄の中で震えたスマホ。マナーモードにするの忘れてた、なんて急いで取り出す。








実弥日曜高校の同窓会入ってたわ

実弥忘れてた、悪い






(……高校…高校って元カノ……)








実弥同期しか来ねぇから変な事考えるなよ







あ、そっか…そりゃそうだ…なんて。それより睡魔が凄い。欠伸が出過ぎて涙出て来た。

家に帰ったら今日はすぐ寝よう、と私の脳内は布団の事しか考えられなかったのだった。


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