とある日の美術室 ページ47
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『……今なんて?』
「Aと家借りる…。」
昼休みの美術室、廊下では暫しの休息時間にはしゃぐ生徒らの声がこだましている。
次いで聞こえてきた悲鳴は、恐らく走ってた奴らが冨岡にしばかれているのだろう。
「おい、驚きすぎだろォ。…筆、折れてるぞ。」
『お前さん、流石に早過ぎねぇか?…あ、』
「…煩ェ、わかってる。焦った。」
焦り、それは情けをかけてクソみたいな元カレに会ってやったり…それからも未だにちょこちょこメッセージの通知が来ているのを知っているから。
本人がそれに返信しているかまでは確認してないが、あのアパートだって相手に知られているわけだし自分が居ない時に来るんじゃないか、なんて毎日仕事帰りに通う自分は相当に女々しい。
『はーん、実弥くんなんだかんだまともな女と恋愛した事ないもんねぇ。』
「そのウゼェ喋り方やめろ。」
『…で、Aちゃんは?』
「驚いてたなァ、…はぁ、マジで俺頭いかれてるわァ…。」
それは周知の事実だけどな、なんて言いながら折れた筆を捨てるとまたキャンバスに向き直るこの男に今日に限っては全く言い返す気力も起きない。
最初こそ今回は気持ちに余裕を持って…なんて思っていたけれど、日に日に大きくなる気持ちにやっぱり俺はまだガキなんだと教えられた。
『…まー、お前も良い年だし良い機会かもな。このまま結婚まで行くんじゃね?上手くいけば!』
「…結婚……、ってそれは早えだろォ。」
『はあ?お前の基準がよく分からんわ、まあ同棲するならそれなりに責任持てよ!もう女泣かせんじゃねぇぞ。』
それくらいわかってるわ、なんて言い返そうとした時始業15分前のチャイムが入る。
やばい、一回職員室に戻らないとマジで授業に遅れる。冨岡がなんか言ってるが無視だ。踵を返して全力で走り出した。
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桃 - もしかして禰豆子ちゃん...? (2021年3月31日 14時) (レス) id: 087676fea2 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - まっちゃさん» はじめまして!わ〜嬉しい!!実弥さん推せますよねぇ…!続編も頑張りますのでぜひぜひ…! (2020年4月17日 15時) (レス) id: 734f5f4144 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - はじめましてとてもとても面白かったです!!私最近実弥推しになってきたんですよww続き待ってます〜!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: 89b3e401ff (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - Øさん» 初めまして!きゅんきゅんをお届けできてよかったです!!何度もとか嬉しすぎて!!ありがとうございます!続編も更新頑張ります〜!! (2020年4月16日 7時) (レス) id: fd204211f3 (このIDを非表示/違反報告)
Ø(プロフ) - 初めまして!とてもきゅんきゅんしながら何度も読み返してます!!!これからも無理しない程度で更新頑張ってください!応援してます!! (2020年4月14日 21時) (レス) id: 712c3e0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月 | 作成日時:2020年4月12日 23時