別の人の彼女になったよ【不死川実弥】

36 ページ45

.



焼肉はとっても楽しかった。

お母さんは相変わらず優しくてやたらとお肉をくれるからお腹いっぱい過ぎて少し気持ち悪いくらい。玄弥くんは思春期真っ只中な感じで沢山は話せなかったけど、最後に兄貴をお願いしますなんてこのイケメン遺伝子は不死川家の血筋らしい。







「はー、お腹が苦しい…。」


『…よく全部食べたなァ、俺と同じくらい食ったんじゃねぇか？』






ぽっこりと膨らんだお腹を優しく撫でられる。

何これ擬似おめでた体験…？中身は米と肉とビールだけど。いつも通り私のアパートまで送ってくれて、そのままソファーで暫し寛ぐ至福の時間。






『そういやこの封筒、重要書類って書いてあったぞ。』


「……？ありがとうございます、何だろう管理会社から…。」






ピリピリとその封を開けると中には二枚の紙。

契約更新…あ、そうか。もうそんな時期になったのか。短大に入ってすぐ契約して、丁度4年目だ。
前は何も考えず契約更新したけれど、どうしようかな。






『…んー、どうしよう。』


「ああ、更新のヤツかァ…。」


『プロパンだからガス代高いし引っ越そうかなぁ…、あ！折角だから一緒に住みます？』


「俺もそろそろ家出ようかと思ってたから丁度良いかもなァ、物件探しとけ。」






はいはい、なら2LDKとか良いですねぇなんて…

は？今なんて言った？思わずソファーの上に正座して衝撃発言をかましながらテレビに夢中のその人に向き直ると、怪訝そうな顔でこちらを見ている。






『今、何て言いました？…冗談なら』


「ふは、何変な顔してんだよ！別に良い機会だろォ、どうせいずれそうなる訳だしなァ…。」


『……は？今のからかってるなら怒りますよ、私。』


「からかってねぇよ、俺も探すけど今週テスト週間だから忙しいからなァ。…週末どっか不動産予約しとけ。」





え、なにこれ？同棲？…同棲ってヤツなの？

私今まで気付いたら転がり込まれてたパターンしか経験した事ないけど…付き合ってまだ1ヶ月も経っていないのにそんな大きな決断を下して良いものなのか考えあぐねても答えが出る筈は無かった。


.

とある日のひま電→←35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す