別の人の彼女になったよ【不死川実弥】

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「…お邪魔します。」


『座席適当に倒していいぞ。…飯、なんか食いてぇもんあるかァ？』






駐車場に止まっていたのは白の大きなミニバン。

うわあ、これって8人乗りとかじゃなかったっけ…私には運転出来る自信全く無いや。ふわりと芳香剤の爽やかな香りがする、あ、これ私の車のと同じメーカーだ。






「うーん、とりあえずスッピンなのでファミレスとかの方が…」


『別に気にするほどじゃねぇだろ、俺はそっちの方が好きだぜ。』


「ありがとうございます。逆に恥ずかしいんでやめてください…！」






サラッと言う所に大人の余裕を感じる。

じゃあ行くか、と動き出した車。無音の車内にウィンカーの音が響いてなんだか少し気まずい。






「それにしても大きい車ですね、私絶対運転出来ないです。永遠に駐車出来ない気がする…。」


『慣れだよ慣れ。俺んとこ家族多いからなァ、遠出する時とか一台で纏まった方が楽だし。』


「そうなんですね、不死川さんは…お兄ちゃんっぽい！」


『はは、なんだそれ。』






他愛もない会話、ちらり、と隣を見ると前方を見たまま小さく笑うその姿にまたどきりと心臓が跳ねる。

助手席から見る運転姿ってやたらカッコよく見えるよね…何なんだろうこの効果。






『本当にファミレスで良いのかァ？』


「へ？はい、寧ろ牛丼とかでも良いです…。」


『ああ、す○家とかうめぇもんな。なんか意外だわ、Aファミレスとか行かなそうな見た目だったからよ。』


「あはは、行きますよ。最近は行ってないけど学生の頃はよくドリンクバー目当てでサ○ゼとか。」






赤信号で停車すると交差点の先にファミレスの看板が見えた。

何食べようかなぁ、あそこのメニューだと和食系の定食もあるし体に優しそうなやつにしよう。なんて考えているうちに駐車場へと入って行った。


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