ハイスペック・バカップル 6 【荒北靖友/洋南大学】

22 Side靖友 ページ22

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　荒北靖友
　4月2日生まれの19歳。男。
　お姫様2日目の愛するカノジョから届いた一通のメールに、動揺を隠せない。

「――部長ォ！ 雪村サンはァ!?」

「ん？ ユキなら早々に帰省したけど」

「ギャアアア……唯一頼れそうな希望が……」

「……どうしたんだ？」

＊

――昼飯の材料を買いに行こうと、Aチャンに断りを入れてから外出した。

　どうせなら賞味期限も考えた上で大丈夫そうなものを一気に買い込んでおこう。
　そう思ってエコバッグやらなにやらを鞄に詰め込んで、ビアンキは留守番。
　歩いて最寄りのスーパーまで行く途中、Aチャンからメールが届いた。

　世の中の男どころか10代男子なんかが買ったことなんかねーだろ、なんて思うソレを要求する連絡だ。

　まだなんとかなるけど、出来れば新しいのがあると精神的に落ちつく。
　そういうことを書かれると、なにがなんでも『買ってきたから心配要らないヨ』なんて言いたくなる。
　見事にお姫様に訓練された犬っぷりを発揮してしまうのがオレだ。

　だけど流石に、むしろそれ男がレジ持っていって大丈夫なのか、なんて心配するのもオレだ。
　助けてくださいなんて頭下げてもいいと思って、スーパーじゃなくて部室に向かった。

　帰省する部員も多いから、と選抜で勝ち抜いたチームメンバー以外は自由に自主連。
　だからいる人数は少ないが、金城や待宮もひとっ走り行った帰りなのか部室で休憩中だった。

――絶対いると信じていた二人の片方は、早々に帰省していた。

＊

「なんじゃアラキタ、今日は走りにきたんじゃないんか」

「まだ気にしているのか、猫先輩達の暴走を止められなかったこと」

「もうアレは終わったンだヨ……。あの人達は菅原サンが再教育してくれるしィ……」

　選抜レース。
　菅原サンの指示もシカトして突然アタックかけたクロにつられて、スプリンターのミケまでアタックかけた。
　まぁ追いつきゃいい、なんて思っていたらクロもミケも山のてっぺんで止まってやがる。
　なんの為に先輩方を千切って飛び出たんだ、なんで呑気に喋ってんだ、なんてイラつきながら回収した。

　山下りながら叫んだ菅原サンの『お前ら後でシバく』宣言には背筋がピンと伸びた。
　先輩方の個性を知らなかったからこそアシストしきれなかった、とAチャンにすがりついて悔やんだ。

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