【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart4【Free!】

27 『Part 3　一年後』 ページ27

※Part3『一年後 Side凛』の裏側、主人公Sideです。
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「地方大会進出おめでとうございます!!」

　二日間に及ぶ大会では、あちこちに鮫柄学園の名が並んでおりました。
　凛さんは大学からスカウトというものが沢山きていらっしゃるようで、嬉しい半面、対応が面倒だと仰っておりました。人気者は大変そうです。

　お祝いの言葉を述べたのも数日前。
　凛さんとお付き合いが始まって、一年。そう考えると心の奥からあたたかくなります。
　地方大会までの間にはオープンキャンパスというものがあるそうで、スカウトをもらったうちのひとつである兄様の通う大学へ凛さんがお出掛けするそうです。

　私も凛さんと一緒にお出掛けしたいです、兄様に会いたいです――とは言えずじまいでした。
　凛さんは遊びに行くのではありません。将来のことを考えての、いわば下見です。
　寂しいな、と思いながら今日も桃ちゃんと一緒に学校へ行きます。

「ねぇねぇAちゃーん！ 1年記念どこいったのー？ なにした？」
「あ、ええと……」

――なにもしておりません。

　私の一言で桃ちゃんは大きな目をパチパチとさせ、少しよろけた拍子に電柱にぶつかってしまいました。
　それには驚いてしまいましたが、お怪我はないようです。安心しました。
　深刻な顔をした桃ちゃんが、肩から鞄がずり落ちるのも構わずに私の両肩を掴んで揺さ振ります。く、苦しい。

「え？ どういうことなのAちゃん！ 喧嘩？ 喧嘩なの？ 倦怠期？」
「いっ、いえっ！ あのですね――」

　凛さんが忙しい身であることをお伝えしますと、パッと桃ちゃんの手が離れました。
　なんだか私よりも悲しそうに顔が歪んでおります。可愛いお顔が台無しです。
　再び学校まで歩き出しながら、お話をしました。

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