【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart4【Free!】

15 ES編 ページ15

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「ごきげんよう伊集院さん。お待たせしてしまい、申し訳ございません」
「ごきげんよう。構わなくてよ、放課後としか書きませんでしたもの」

　第1実習室の外には、伊集院さんといつもご一緒の方々が少し困った顔で待機しておりました。
　ほんの少し言葉を交わすと、どうやら私を心配してついてきてくださった友人達と考えは同じようです。
　原因はこっちにあるのに、とひどく申し訳なさそうにされておりました。
　とはいえ、私にも非はあります。どんな形にせよ折角こうして話し合う場を設けて頂いたので、彼女達には和解しにきたことを告げて、実習室に足を踏み入れました。

　二人だけのお話は、あたりさわりのない事柄から始まり、屋上の件へと移ります。
　お互いに非を認めた箇所を謝罪し、譲れない箇所を感情に流されず丁寧に話し合いました。
　伊集院さんも手紙を入れた後、ようやく冷静になった、と。カッとなっていたのだと。

　昨日の昼休みに友人達が予想した展開にはならず、ほっとしました。
　家柄を気にせず過ごせる学祭がなにより楽しみだったと、伊集院さんは言います。
　結構良くも悪くも伊集院さんの噂を聞きますが、どうやら不本意なようです。ただの、好きなことを好きなように出来ない、日々我慢を強いられている女の子でした。私達となにも変わらないのです。

「リカ様がご卒業なされて、校内にお慕いする者のいなくなった子達が私を持ち上げる、と言いますか……。私にあの子達をリカ様のようにまとめ上げる腕はありません。頭に血がのぼっていたときの言葉を、あの子達の中で過激に、過剰に負の方向へ向けていないと良いのですが」

　私もお慕いしていたリカ様はもう大学生。お慕いしている方と同じ大学へ進まれたと聞いております。
　鮫柄と比べれば白波はとても小さな集まりです。それだけ生徒同士の仲は近く、深い。
　目標を失った方々が集まってしまったのが伊集院さんの元だったのです。ただ、それだけなのです。

「負の方向、と言いますと……？」
「――あまり口にしてはいけない言葉だと思いますが、失礼致しますね。あることないことを影で広め、ときには物理的に攻撃をしたり、人を集めて対象を陥れたり……。イジメ、と言うのでしょうね。私も幼少期受けておりました。ですのに、どうしてこんなお恥ずかしい真似をしてしまったのでしょう」

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