副編集長のイタズラ大作戦！【きゅけ】

餓死寸前、お腹すいたぜ　-kwkm- ページ18

『うわ〜……お腹空いた……』


バタバタと足を動かし、机の上では腕を伸ばしながらうつ伏せを。
こんな状態でいるせいか、小さい頃からお互いに醜態を晒しまくっている拓司以外、オフィスにいる全員が引き気味だ。


遡ること４時間前。
さっそく、実行に移すため、動画を撮り始め、オフィスに入ったところまでは良かった。……そう、ここまでは良かった。

オフィスに入るなり、中には目的の彼はおらず、代わりに河村さん、福良さん、それと拓司。この三人がいた。この三人を目にした瞬間、なんだか嫌な予感がした。
思えば、この時に撮影をやめて引き返せばよかったのだろう。だがしかし、私が家へと引き返そうとしたときにはもう遅かったのである。



*



((こんにちはー))

((おー、ちわー))

((Aちゃん、やっほー))

((ちょうどいい所に来た))

((あ、忘れ物した……！出直してきます……っ
か、河村さん、その手、離してもらってもいいですか？))


***


((それで、拓司の代わりに書け……と？))

((そういうこと！さすが、Aちゃん、読み込みが早くて助かるよ))

((まだ、うんって言ってないんですけど))

((え、やってくれねーの？))

((Aちゃ〜ん、お願い！！))




*


……上手く丸め込まれた。
明日から中国へ出張の編集長の仕事を肩代わりしてくれと言われた所まではぎりぎり納得がいく。なにせ拓司は、いつも忙しいうえに、仕事を溜める常習犯だもん。そこまでは理解できた。
でも何故、こうなる？？
演者としての撮影があるからと言われ来てみたものの、３人以外いなかったと思えば、仕事を増やされさらには、息抜きのYouTube用の動画には出なくていいと言われた。私の代理には、川上を呼ぶらしいが、彼も突然呼ばれていい迷惑だろうに。

……と、今はYouTube用の撮影も終えて、拓司は自身の机で何か作業をしている。
私はご覧の通り、ぐでぐでだ。そもそも朝昼抜いている人にこんな大量の仕事をさせてはいけないと思う。飴のストックも切れ、本格的にお腹が空いてきた。



「Aさ〜ん、具合、悪いんですか？」

『……』

「悪くないんやったら、いい加減そこ、どいてください」

『……』

「はぁ……」

私の目の前の机の主は川上。わかるよ、机使いたいよね！！でもね、私充電切れなの！！
ご飯作って！！！

……と、素直に言えるはずもなく、ただただその場で無言で駄々を捏ね続けることしかできなかった。

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