続き ページ17
レム睡眠に移った頃だからだろうか、ふわりと鼻腔を掠めた食べ物の香りに意識が浮上していく。うっすらと、瞼を少しずつ押し上げて行けば、目の前には整った彼の顔。ぱっちりとした瞳と目が合って、思わず仰け反った。
『うわっ……!』
「はっ、ごめん!驚かせちゃったかな?」
『びびびび、びっくりした』
「ごめんね?
出来たよって呼びに来たら、Aちゃん寝てるから。起こさないようにーってしてたら、いつの間にか見つめちゃってた……!」
最後の方は言った本人も照れているようで、声がだんだんと尻すぼみになっていく。
上体を起こしてソファに座りなおせば、目の前には豪華な食事。
『これ全部、ふくらさんが作ったの??』
彼が苦手な野菜までちゃんと用意してあり、相当手間をかけて作ってくれたことが窺える。
「ま、まあね!
俺だって、料理の一つや二つくらいは嗜んでるんだから……!」
嗜んでいるというにはもったいないくらいの出来栄え。これは、料理店でも開いた方がお金が稼げるのはでは……?なんて思わせるほどの手業。
しっかりと栄養を考えてくれている食事が目に付く中、一際目を惹く料理が二つほど、真ん中にどどんと並んでいる。
軽く箸休めのつもりでその二つに手を伸ばせば、彼は私の顔を覗き込むように窺いながら見てきた。
『? どうしたの?』
「いや。……Aちゃんの好物、作ってみたんだけど……味に自信がなくて」
ここまで、絶品な料理を出しておきながら、ここにきて自信がないときた。……どこまで謙虚なんだよ。
『……どれも美味しいよ?私好みの味……!』
ぼそりと照れを隠すように、小声で言ってみると、彼は驚いたように目を見開いた。
「お褒めにあずかり光栄だなぁ」
『べっ、別に褒めてないし!?
プロデューサーなんだから、演者の体調管理して当たり前でしょ!!』
「はいはい。
Aちゃんが満足してくれてよかった」
ほっとしたと顔にでかでかと書かれているくらいには、安心した様子の福良ママ。
目元も穏やかに垂れ下がっており、心底幸せそうだ。……なんだか、見ているこちらまで幸せな気分になってきた。
そんな思いを抱きながらも料理を平らげていく。
ごちそうさまでした、と手を合わせれば、おそまつさまでしたと、返してくれるママ。
その後もほのぼのと二人の時間を満喫しましたとさ、おしまい。おしまい。……じゃなくて、みっちりと理由を問われ、叱られました。
『ママ、怖すぎ……』
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唯華c - 了解しました!これからも応援しています!頑張ってください!! (2019年9月30日 1時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
瑞西(シャラルー☆)(プロフ) - 唯華cさん» いつも読んでくださってありがとうございます。リクは募集は一応しているのですが、少し複雑なので、公に募集をかける際には、本編の方で公募いたしますので、それまでお待ちください。 (2019年9月29日 11時) (レス) id: 705dc09b7e (このIDを非表示/違反報告)
唯華c - すごく面白いです!(上から目線ですみません!)更新がすごく楽しみです♪ちなみに、リク募などはしてませんか?もし、していたら教えて頂きたいです!これからも応援してます!(最後まで上から目線ですみません(・_・;) (2019年9月29日 0時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
瑞西(シャラルー☆)(プロフ) - みなも。さん» 了解致しました。それでは、宜しくお願い致します。 (2019年8月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
みなも。(プロフ) - では私の方で削除させて頂きますね〜。マイナスなコメントは無いに越したことはないので(*^^*) (2019年8月27日 15時) (レス) id: d94cfd6036 (このIDを非表示/違反報告)
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