検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:30,812 hit

 . ページ35

.


「あれ?Aちゃんじゃん!え、なんでいんの?!」


ドア近くに立っていたのはおばけの帽子をかぶった渡辺さんで。

その突然の大声に、何事かと作業スペースにいた皆がこちらを見て、また私は目を丸くしてしまった。

全員が何らかの仮装をしていて、まさにこのオフィスでさえもハロウィンという雰囲気がピッタリだ。

そんな中、私服の私1人がなんだかものすごく場違いな気がしてして…。


『ちょっと資料を見にきただけなので、すぐに帰りますから…』


そそくさと資料スペースに撤退しようと軽く会釈をしつつ身をかがめた時、不意に目の前に誰かが立っていた。


「資料って、見るだけ?その後、時間無いかな?良かったらAちゃんも飲まない?」


優しい気遣いの言葉とは裏腹に、悪魔のツノのヘアピンと矢印のような尻尾をつけた山本さんがこちらを見ている。


「まぁったく、Aはホントに真面目だな。それきっと、明日でも間に合うやつなんだろ?いいじゃん、もうこのオフィスは今からハロウィンパーリーナイトなわけ!だからもう今からAも参加決定な!」


骸骨のお面を付けていて面食らったけれど、それをさっと取って髪をかきあげたのはニコニコと笑う伊沢さんで。


「おっし、Aちゃん1名様追加でーっす!」


後ろからポン!と両肩に手を置かれ、驚いて振り返ると立襟マントと付け牙でドラキュラになった須貝さんが立っていた。

3方向から行く手を阻まれてしまって、しどろもどろしていると。


「まぁまぁ御三方、Aさん怖がってるよ。ごめんね、強引で」


助け舟を出してくれたのは、いつかの動画で見た黒魔道士のようなフード付きマントの河村さん。


「勝手に盛り上がっちゃってるけど、俺らも無理矢理だからね、コレ。着ないと飲ません!ってゆうどっかのCEOのお達しで」


持っているステッキを少し苛立たしげに揺らしながら魔女帽子を被っているのは鶴崎さんで。


「そうですよ!見てくださいよ!僕なんか選ぶ余地なくいきなりコレ被らされたんですから!」


抗議の声を上げながら、ふわふわのかぼちゃ帽子を揺すっているのは山上君。


「まぁこの男だらけのむさ苦しい仮装会場にAさんがいるだけで癒しになりますから」


包帯とフェイスタトゥーシールで結構リアルなミイラになっているノブ君にそう言われて。


その隣でうんうんと頷く猫耳カチューシャと尻尾を生やした乾君を見て思わず顔がほころんでしまった。


.

 .→←『follow my hand』Halloween ALL



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
187人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SEN | 作成日時:2021年10月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。