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｢───やま、もと、？なんで、ここに…｣
｢…くっ、はははは！！ほら、言っただろ？祥彰は絶対俺のところに戻ってくるって。……祥彰、昨日帰ってこなかったから心配したんだぞ。｣
｢……伊沢さん、昨日も、今日の朝も迷惑かけてすみません。｣
ぺこりと頭を下げる山本。
違う、迷惑だなんて思ってない。
だから、行かないでくれ。
もうそいつの元へ行くのはやめてくれ。
｢祥彰、もう今日は帰ろう。ほら、伊沢拓司に最後の挨拶。退社するんだから、言ってやれよ。今までの不満やら文句を。この甲斐性のない無能な社長に！｣
嫌だ。聞きたくない。
俺はまだ、山本と一緒にいたい。
上司と社員の関係でいいから。
まだ、離れたくない。
｢や、やまも…｣
────パチンッ
乾いた音が店内に響く。
山本が慎也の頬を叩いたのだと理解するのに少しだけ時間がかかった。
｢……今、なんて言った？｣
発した山本の声はいつもより何倍も低く重かった。
｢伊沢さんのこと、無能って言った？｣
｢……なにか違ったか？｣
｢僕はもう…あんたのことなんか好きじゃない。｣
慎也を睨みつけながら、はっきりとそう言った。
｢……ふっ、ははは、何言ってんの？お前が言ったんだろうが。「僕はずっと慎也のことが大好きだよ。」って。｣
｢そうだよ、僕はずっとあんたの事が好きだった。けどそれはもう……大学2年生のときまでの話。それからの僕は僕じゃない。本当にどうかしてた。事実、それから先の僕はあんたの前で1度だって笑顔を見せたことがない！｣
吐き捨てるように告げる山本。
｢僕は何年も、自分に嘘をついてた。あんたを好きだと勘違いしてた。恐怖心から逃れるために。あんたから逃げ出す勇気のない僕はあんたを好きだと思い込めば、愛のある暴力なんだと思い込めば、耐えられると思ってた。｣
｢……で？今更逃げ出す勇気が出たって？｣
｢逃げ出す勇気じゃない、戦う勇気が出た。……慎也。僕と別れてほしい。本当は4年前に言うつもりだった。今までありがとう。｣
そこまで言うと、山本は俺の腕を引っ張って、店の出口へ向かう。
｢おい！待てよ祥彰！！｣
｢これ以上関わるなら！！……警察に今までのこと全部話すから。｣
振り向かずに言い捨てる山本。
俺の腕を掴んだまま離さない山本はそのまま店を出て、俺の家の方へ歩き出した。
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榎宮(kamiya)(プロフ) - taiyakiさん» ありがとうございます！！長くなると思いますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです(*´∀｀*) (2021年2月28日 17時) (
レス) id: fde5522bfa (このIDを非表示/違反報告)
taiyaki(プロフ) - izym好きなので、長編小説とても嬉しいです〜！！次回の更新もし楽しみにております (2021年2月28日 17時) (レス) id: 12caf42540 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：榎宮(Kamiya) | 作成日時：2021年2月28日 15時
