歩く姿に恋をした。[kwmr] ページ27
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定刻通りに授業が終わり、待ち合わせの駅に着いたのはそれから1時間半後。
今日のために、普段は愛用しているリュックではなくトートバッグを選んだし、大学に行くには少しフェミニンな洋服を選んだ。
「よしｯ！」
「何が“よしｯ！”なの？」
「うわぁ！いきなり驚かせないでよ！」
「別に普通に声掛けただけじゃん」
声の方を振り返ると、私が背にしていた柱の反対側に居たであろう河村さんの姿。
「私の方が先に着いてると思ったのに」
「そもそも僕卒業生。終わる時間から駅つくだいたいの時間分かる」
「それはそうですけど……でも今日は、私だって急ぎましたし」
「別に逃げないよ」
肩にかけていたトートバッグとは別に、左手に持っていた袋は、サラッと奪われてしまう。
「だって河村さんなかなか釣れないじゃないですか」
「そんなことないよ？」
そのまま空いた手は、行き場なんて無くすことなく、彼の手に収まる。
「付き合ってくれるまでだって大変でした」
「後輩って結構いろいろ考えたからね」
「まぁ、今こうして隣に居させていただけて嬉しいんですけどね」
今日で、付き合ってから1年。
珍しく河村さんがお家デートを提案してくれた。
道も覚えてしまった彼の家に向かう足取りは、今の気持ちを反映したみたいに軽い。
「そういえば、なんで私が来たの分かったんですか？」
「え？」
「だって、柱の裏と表に居ましたよね私たち」
「あー、そういうこと」
「ん？」
河村さんが急に止まるから、手を繋ぐ私も必然的に止まる。
「ねぇ、Aちょっとそこまで歩いてみてよ」
「いいけど」
コツコツとパンプスの音が、夕暮れの十字路に響く。
「それ」
「どれ!?」
「昔からそうなんだけどさ、Aの足音って凄く特徴的なの」
河村さんは、開いた距離を再び縮めるように歩いてくる。
「嬉しい時も、悲しい時も、悩んでる時も、全部足音に出てて分かりやすい」
「それだとめちゃくちゃ足音うるさいヤツじゃないですか！私！」
「ははｯ、違う違う、そこが可愛いんだよ。それに、僕と会う時に聞こえてくる音はいつも楽しそうだから、すぐ分かるの」
“早く帰ろ”ってまた当たり前みたいに手を取って、私の少し先を歩く河村さんの耳が少し赤い気がした。
それは多分、私も同じ。
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りりぃ(プロフ) - シラユキ。さん» コメントありがとうございます！全て面白いなんて言っていただけて、嬉しい限りです⋆*リクエスト了解致しました。シラユキさんもご自愛ください𓂃◌𓈒𓐍 (9月24日 9時) (
レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ばたこさん» コメントありがとうございます！リクエスト了解致しました⋆*ご期待に添えるよう頑張ります！ (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ。 - お話全てが面白い短編集を見つけてしまった…リクエストいいですか…mnちゃんのお話を頼みたいです…！できればでいいのでお体に気を付けて頑張ってください！ (9月18日 15時) (レス) @page36 id: fd9c934f53 (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - いつも応援してます！リクエストなのですが、東言さんのお話みたいです、！更新ゆっくりで大丈夫です！！ (9月18日 11時) (レス) id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！ものすごく嬉しいお言葉ばかりでニコニコが止まりませんでした*°今は少し忙しくまばらな更新になってしまいますが、是非お待ちいただけると幸いです！ありがとうございます！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりぃ | 作成日時：2022年9月24日 16時
