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#4 ページ16

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 …こんなこと、するタイプだっけ?


 昨日のLINE、電話での約束、プレゼント…彼らしくないことのオンパレードだ。様子がおかしい気がしてぐるぐると考え込んでしまう。

 私が唖然としているとお会計が済まされて、小さな紙袋を持った店員さんが“お出口までお持ちします”とにこやかに言った。


「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」


 拓哉くんが袋を受け取ると、深々と頭を下げてお見送りされる。買い物する度思うけど、このやりとり慣れないな…。


「はい、Aさん」
『え、ええ…!?だから、なんでこれ…』
「理由なんかないけど――じゃあ、もうすぐ記念日だし」
『じゃあって』
「贈りたいんだから、貰ってよ」


 ふいと外を向いた彼の耳が少し赤い。意地っ張りで素直じゃない反応は彼らしいのに、行動は全然彼らしくない。


 今日聞き出せなかったら教えてくれないような気がして、ショッピングモールの中にあるベンチへぐいと引っ張ると“うわっ”と驚いてふらつきながら腰かけた。


『拓哉くんがプレゼントしてくれるのは嬉しい。けど、…理由知りたい』


 じっと見つめると彼の目が泳いだ。

 “昨日からおかしいよね?”というとあからさまに動揺していた。


『教えて?』


 そう言ってぎゅっと手を握ると、視線を彷徨わせたまま“何で気付くかな…”と呟いた。
 …すぐわかるよ、拓哉くんらしくないことくらい。




『昨日のLINEからね』
「…そっから?」
『だって気になるもん』
「おかしくないって選択肢は?」
『ないでしょ!』


 強く言い切ると諦めたように息を吐いた。


「…LINEしたのは昨日飲んでた奴ら。取り置き出来るのが今日までだってぽろっと言ったらいつの間にかLINE送られてて、」
『え、じゃあ』
「でもプレゼントしたのは俺の意思だから。今日になるとは思ってなかったけど…」
『っ、』


「俺のだって示しときたくて」


 真剣な表情に心臓が煩くなる。

 左手の薬指を撫でながら“まだここは早いけど”と零し、じっと見詰められた。




「――ずっと俺のでいて欲しいから」




(魅力的になるAさんを繋ぎとめておきたい……って言ったら呆れる?)


.
hand cuff
[拘束する]

―― あなたの手からすら、
逃れることなど出来ないのに

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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年6月13日 21時

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