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「“だから、飯食いに行こう”」
『え?ちょっとまっ、』
「“夕方から空いてる?”」
『…うん』
「“じゃあ明日16時に迎えに行く”」
『え、駅でいいよ!?』
「“迎えに行くから”」


 とんとん拍子で進む会話に何とかついて行くと、電話越しに“河村ー!”と彼が呼ばれて。
 小さく嫌そうな声を漏らした彼が、“じゃあ、明日ね”と言って電話を切る。


 “またね”と返すつもりが、電話越しに聞こえた“彼女かー!?”の声に掻き消されてしまった。


『……ほんと、珍しい』


 無音の中、ぽつりと呟く。

 あの後友達に揶揄われた拓哉くんがどう反応するんだろうと考えると、にやけてしまうほど幸せで。ガラにもなく明日が楽しみになった。


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 翌日、朝から妙にソワソワしちゃって…居ても立っても居られなくていつもは乗り気じゃない家事に没頭して午前中を過ごした。


 それでも夕方までまだ時間があったから、YouTubeでヘアアレンジだとかメイクの動画を見ては挑戦してみる。
 出来上がったふわっとした巻き髪とメイクに満足して服を着替えると約束の時間の30分前だった。


 ビューティー系で埋まった履歴を遡って、彼や彼の仲間たちの動画を見ていたら時間ぴったりにチャイムが鳴った。


『はーい?』
「あ、俺」
『拓哉くん!今行く』


 バッグを掴んで外に出ると壁にもたれてる彼が見えて、いつもと同じはずなのにどきっとする。

 そんなトキメキを隠してヒールを鳴らして彼の元へ駆け寄った。


『お待たせ〜』
「え?あぁ、うん 行こ」


 ちょっと動揺したような素振りを見せたけどすぐに戻って会話が弾む。

 “昨日は誰と飲んでたの?”と聞いたらライターの名前がちらほらとあげられて。珍しい組み合わせ、とか飲み過ぎた?とか話しながら駅までの道を歩いた。


 比較的空いてる電車に乗りこんで“どこ向かってる?”と聞くと、ここから少し離れたショッピングモールの名前が出る。


 最近は家と会社の往復で遊びに行くことがほとんどなかったから新鮮で。“いいね!楽しみ!”と言うと、彼もつられるようにして笑った。




「Aさん…もう着くよ」
『ん…』


 そうやって2人で話してる内に、いつの間にか睡魔に襲われて意識を手放した私。

 優しい声に起こされて数回瞬きすると、ぼーっとしたまま手を引かれて駅に降りた。


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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年6月13日 21時

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