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次にみなさんに会ったのは、記事の打ち合わせとしてオフィスを訪ねたときだった。
その日の朝にあった事件のお話。
日曜日ゆえに、午前中から会議をするという。
……なぜか、川上さんが迎えに来たのだが。
『お、おはようございます……?』
「おはよ。いこっか」
家を出たらイケメンが壁にもたれて待ってたので、頭が混乱する。
混乱したので今日もかっこいいですねと伝えれば、嬉しそうに笑われたので私も嬉しかった。謎。
『待ってたんですか?呼んでくれればよかったのに』
「大丈夫、そんな待ってないから」
恋人みたいな会話だなぁと、頬を緩めて歩き出す。
こんなに心地いい、ぬるま湯みたいな関係でいられるんだったら、難しいことなんてどうでもいい。
「この前、山本に、何もされんかった?」
と、心配そうに尋ねられる。
何をされたわけでもないけど……。
『何もされないですよ。山本さん、お優しいです』
「……まあ、山本は、底抜けにいい奴やと思う」
『ですよね?すごく気にしてくださってるみたいで。川上さんのこと好きなの?なんて訊かれて』
やっぱり仲良しなんですか?と尋ねようと顔を見上げると、__あれ?
彼は、数歩後ろで立ち止まっていた。
『どうされました?』
「……それ、なんて答えたん」
『?』
「俺のこと好きなんか、訊かれたんやろ」
……あ、しまった。言っちゃった。
『え、好きですって言いましたよ。いつも通り』
「ちゃうやろ、そういう好きやないやろ」
ずい、と詰め寄られる。
『待ってください、顔無駄に良いんですから近いと危ないです爆発します』
「いみわからん、なあ、俺の事好きなの?」
幸いというか、不幸というか。
朝から人通りの少ない路地裏で、問い詰められる。
……いや、何も、躊躇うことはないんだけど。
『……引かないって約束してください』
「ん、ええよ」
いつもドSのくせに、こんなときは優しい声音で。
『好きですよ。私、川上さんと出会う前から川上さんが大好きです。恋愛も推しもありません、ただずっと大好きです』
川上さんが大好き。
これはあのころも今も唯一変わらない、私の真実。
『川上さんのファンはたくさんいるけど……きっと、私が一番貴方のことが好きです』
どんなときも、ああ、好きだって、どうしようもなく思うのだ。
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時