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「『でも、』」
かぶった。瞬時に言葉を引っ込めたが、川上さんが手で先どうぞとジェスチャーしてくれたので、ありがたく言葉を紡ぐ。
『いや、みなさんがそういう点で売ってるんじゃないってことは分かってるんです』
「……ほう?」
『でも結果的にみなさんは全員かっこいいし、絵になる。ので、ファンは夢見てもいいかな、って』
ぼそぼそと言い訳をする。
「まあ、俺らそういうとこで売ってんじゃないから、って言おうとしたんよ」
『はい』
「なんで分かるんよ」
怒らせたかなと不安に思い顔を覗くと、片頬を膨らませた川上さん。
……かわいいかよ!
『ファンだから、ですかね』
「しらん。アイス奢ったるわ、何味」
不機嫌になって何故かアイスを奢ってくれる、相変わらず不思議な人だった。
『川上さんも、五限ですか?』
「いや、今日はもうない。図書館で課題」
『わー、お疲れ様です……』
図書館と私の向かう棟は逆方向だと分かったので、じゃあこれで、と別れようとする。
でも、何か言いたげな表情を見て、歩を止める。
『川上さん?』
「今日、終わったあと。どうすんの」
『ええと……6時半くらいまで、図書館の予定です』
「じゃあ、俺、カウンターから一番遠い端っこから2番目のとこにいつもいるから。授業終わったら」
来い、ということだろうか。
断る理由は、ないけれど。
首を傾げていると、彼は言いにくそうに、
「一緒に、帰りたい。今日オフィス泊まりやから」
『あ、そうなんですか?』
オフィスは私の部屋の近所なので、そういうことなら納得できる。
また後で、と手を振る彼に一礼して、なんだか軽い身体をふわふわさせて、授業に向かった。
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時