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授業が終わり、息をつきながら図書館に向かう。
カウンターから一番遠い端の席から、2番目……あ、いた。
首元を夕日に照らされた、絵になるイケメンが1人。
私が来たことに気づくと、柔らかく手をふる。
『おつかれさまです』
「おつかれ、座れば」
小声で挨拶すると、一番端、つまり隣の席を引いてくれた。
人が隣にいるの嫌なタイプじゃないのか、とちょっと意外に思いながら、お言葉に甘える。
おろしている髪を片側だけ耳にかけると、視界の端に綺麗な横顔が見える。
幸せな気分に浸って、ペンを進めた。
そんなハッピーな時間はあっという間に過ぎて、帰る時間になった。
再び肩を並べる、オフィスへの道。彼らしい黒いリュックを片側だけ掛けて歩く姿は、いつもどおりにかっこいい。
オフィスと私の部屋とでは途中から道が違うのだが、送ってく、と言って聞かない川上さんに負け、下宿先へ向かっている。
「なあ」
『?はい』
「おなか、すいた」
……とは。
部屋の前に着いたところで、そう言われたものだから私が返せる言葉なんてただひとつ。
『夜ご飯、お作りしましょうか……?』
「うん」
満足そうに笑った川上さんを、部屋に招き入れたのだった。
夜の7時。
自分の部屋に推しがいる状態で、夜ご飯を作る、という不思議な状況に陥っている。
まだ一人暮らしを初めて2ヶ月。料理はそこまで得意じゃないのでクックパッド先生に頼りつつ、食べたいと言われた和食を作る。
炊飯器の音を聞いて、2人前のご飯を炊くなんて初めてだなぁと思い返す。
『川上さん、できました。ひと段落ついたら教えてください』
「あ、ありがと。大丈夫」
イケメンにしか許されない座り方でパソコンを鳴らせていた彼に声をかけると、嬉しそうな顔をした。
『あんまり、料理は得意じゃないんですけど』
「んーん、おいしそう。いただきます」
んーんって何!?かわいいかよ……。
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時