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ry side
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“どこで会った”とか“好きなところ”とか。

質問攻めと言えど作戦会議の時に用意してきたものを答えるだけで時間は過ぎてくれた。


Aが“お手洗い行ってきます…!”と少し崩れたメイクを隠して恥ずかしそうに席を外してから、残された俺らには若干の気まずさが漂う。


福良さんは変わった様子はないけど、伊沢さん川上さんは泣かせたという事実に落ち込んでるし…。巻き込まれて事故ったみたいなゆめまるは“どうしよっか”みたいな顔で笑ってた。


福「あの」
「っ、はい!」
福「すみません」


表情が変わらないと思っていた福良さんが、突然バツの悪そうな顔で謝ってきて動揺した。


「いや、大丈夫です…?」
福「こんなこと言うのはどうかと思うんですけど、僕らも金澤が大切なんです。…とはいえ、りょうさんの人柄を疑ってる訳ではないですし、何て言うんだろ…」
「心配でした?」
福「…それが近いかもしれないです。傷付いて欲しくないから慎重に動いて欲しいというか」


器用なように見える福良さんの不器用な優しさを感じてぐっと心が動かされる。…なるほど、Aがこの人達と一緒に居たいと思うわけだ。


「…ちゃんと、幸せにします」


口を突いて出た言葉は嘘じゃなかった。


ゆめまるも伊沢さんも川上さんも、ぽかんとした表情で固まる。…そりゃそうだ、会って数時間の人がプロポーズみたいな言葉発してたら俺だってそうなる。


不確かな言葉だし、そういう意味でAを可愛がってる訳じゃないけど。
でも“幸せにしたい”気持ちは嘘じゃない。


福「……そっか、安心しました」
「良かったです。本気なのが伝わって(笑)」


ふっと俺らが笑い合ったことでやっと雰囲気が緩やかになった。ゆめまるが久々に口を開く。


ゆ「あ〜…(笑) やっと空気軽くなったわ!」
「そうだね さっきまでお前置物だったやん」
ゆ「いや置物じゃねーわ!」


何気ない掛け合いに笑ってくれて、完全に肩の荷が下りた。

終わった…何とも言えない緊張感はもう体験したくないなと思ってしまうのは仕方ない。ハラハラしたし。


軽くなった空気と一緒に敬語の堅苦しい雰囲気からも脱しようと敬語禁止令を出して、Aが戻って来た時には“いつの間に仲良くなったの!?”と吃驚された。


ドッキリなのが申し訳ないくらい心配してくれる、第二の家族と呼べる仲間がAに出来たこと。


…それが嬉しくて少しだけ飲み過ぎたのは、数十分後の未来の話。


.

101.[閑話] 火事場の馬鹿力→←099.



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なお(プロフ) - 久しぶりに読み返してニヤニヤしてしまいました。気長に更新待ってます! (2023年2月9日 22時) (レス) id: 03abaf9ffd (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - はじめまして。話が好きすぎて何回も見返してます。更新頑張ってください!気長に待ってます。無理せず自分のペースで頑張ってくださいね! (2021年4月18日 2時) (レス) id: 6e1a7229cc (このIDを非表示/違反報告)
shion(プロフ) - 今日久々に読み返しておりました。ずっとずっと待っております! (2020年11月21日 0時) (レス) id: 87ea02ffa6 (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 気長に待ってます!お仕事頑張ってください!!! (2020年9月9日 22時) (レス) id: 28b84eb533 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - ひゅんさん» ご愛読有難うございます。大好きだなんて身に余るお言葉…とても恐縮ですが嬉しいです…!ゆっくりペースですが、これからもお付き合い頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします^_^ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 96a8d822a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年2月23日 19時

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