098.【超難問】窮地を脱し論破せよ ページ3
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「『なんでりょうくん(A)がここに!?』」
目をまあるくさせて、一字一句違わないセリフ。
リハーサルなんてないのに見事なハモりだ。
状況が掴めず立ち竦んでいると後ろから店員さんがやってきた。
邪魔にならないよう避けるとりょうくんが隣の席を引いて“おいで”と手招きしてくれる。
…とりあえず情報を仕入れなくては。
『福良さん?何でりょうくんとゆめくんが居るんですか?』
福「言わなかったっけ?」
『言ってませんよ…昨日連絡くれたのに一言も触れてません!』
心臓に悪いトラップを素知らぬ顔で仕掛ける福良さんはいつもの調子で笑ってる。
…本当に、食えない人だ。
り「…マジびっくりしたぁ(笑)」
『あ!そうやん。りょうくんも知らんかったの?』
伊「QK側からのシークレットゲスト、だから」
『…それじゃあ 私だけ仲間外れじゃないですか!』
ふんと不貞腐れた態度で視線を逸らすと、“すまんすまん”と伊沢さんから軽い謝罪が飛んできた。じろりと睨むと委縮したように思える。
り「でも会えて嬉しいよ」
蕩けるような笑顔を浮かべるりょうくんに川上さんと伊沢さんは珍しいものを見たみたいな、ポカンとした顔で固まってた。
…策士・福良の表情は変わらないが。
『っ…私も嬉しい』
り「照れた?」
『照れてない!ゆめくんもお久し振りです』
ゆ「久しぶりー」
り「逃げられたわー」
りょうくんを挟んでハイタッチすると伊沢さん達が顔を見合わせる。“こいつら、いつも通りじゃん?”“俺らが居るのに隠さないのか?”そういった表情。
なんか、軽く読めた気がする…ドッキリがバレたというより付き合ってるか否かの現状が知りたい感じだと。
川「……A」
『はい?』
川「どういう関係で…?」
多分、あちら側の段取りと違う展開。
それを裏付けるように福良さんが一瞬眉をひそめた。川上さんも口に出してから気付いたのか引きつったような顔で私から目を逸らす。
またとないチャンスだ。
ここを逃したらペースを乱されて福良さんの手の平で転がされるだけ――そう思うと真実のような嘘を口にするしかなかった。
『…恋人です。』
このまま墓穴を掘らずにこの人達を論破することが…果たして出来るんだろうか。
隠した真実に彼らが気付かないことを、祈るしかない。
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なお(プロフ) - 久しぶりに読み返してニヤニヤしてしまいました。気長に更新待ってます! (2023年2月9日 22時) (レス) id: 03abaf9ffd (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - はじめまして。話が好きすぎて何回も見返してます。更新頑張ってください!気長に待ってます。無理せず自分のペースで頑張ってくださいね! (2021年4月18日 2時) (レス) id: 6e1a7229cc (このIDを非表示/違反報告)
shion(プロフ) - 今日久々に読み返しておりました。ずっとずっと待っております! (2020年11月21日 0時) (レス) id: 87ea02ffa6 (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 気長に待ってます!お仕事頑張ってください!!! (2020年9月9日 22時) (レス) id: 28b84eb533 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - ひゅんさん» ご愛読有難うございます。大好きだなんて身に余るお言葉…とても恐縮ですが嬉しいです…!ゆっくりペースですが、これからもお付き合い頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします^_^ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 96a8d822a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年2月23日 19時