目眩く色彩３

109.#偶然の #パンダコーデ 【6/1】 ページ14

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上野駅公園口で深くキャップを被って待機してる私。


前までは変装なんてしなくても誰にも気付かれなかったのに。
最近は髪色やら交友関係(主にりょうくんとの匂わせ)やらのおかげで囲まれることが増えた。

…そんなYouTuberらしい生活に慣れたはいいが、今日だけは緊張してる。


ああやばい。
颯爽と歩いてくる、黒髪のイケメン。


芸能人がこっちに向かって来とるって！


水「よ、お待たせ」
『あ！お久し振りです』


あたかも今気付きました！みたいな顔で見上げると、私の目を見て“ん？”って首を傾げる水上さん。


わーお。
ホンジツモオキレイデスネ…(著しいIQの低下)


水「久し振りだね、元気にしてた？」
『忙しいですけどなんとか(笑)』
水「そっか」


そう言いながら安心したように笑う水上さん。

ふわふわ笑いながら再会を喜ぶのはいいけど、全くもって素なのはどういうおつもりですか…。


「――あの！東大王の水上さんですか？」


ほらやっぱり！


頬を赤らめた女の子2人組に声をかけられると、どんどん人集りが増え私まで被害を受け…(笑)
対応出来なくなった私と水上さんは丁寧に断りながら場所を変えた。


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『いやぁ…すごい人気ですね』
水「ほんと(笑) 一人だとそんなに気付かれないんだけどなぁ」
『そりゃ私もですよ』
水「話してるとバレるよね」
『確かに！』


上野公園の一角にある自販機が並ぶエリアの端に縮こまってる2人。

人目を避けて木陰に隠れてるのだけ見ると、絵面は完全に張り込みだ。


『とりあえず人の少ない方に移動しますかぁ』
水「そうだね …ってかAご飯は？食べるなら店入っちゃおうよ」
『あ！水上さんお腹空いてます？」
水「えっ 急に？(笑)」


食い気味に質問すると水上さんは笑いながら“空いてるけど…”と口にする。


『あの、よければ…食べませんか？』


そう言いながら水上さんの前に差し出す、お弁当。


水「…」
『…』


……いや、
無言つらいって。

何か言ってくれ…。


意を決して水上さんの方を見上げると、照れたのを隠すように口元を押えてはにかんでいた。


えっ？(動揺)
ファンに対してその態度はあの、


……流石にテロやん！！


水「――嬉しい。食べたい」


そう呟くと差し出したランチバッグと一緒に右手を掴まれて、通路に面してないベンチへ手を引かれていった。


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