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ry side
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川「――さん、A寝坊らしいですよ」
良く知った名前が話題に出ているのに気付いて足を止めた。俺の後ろにいて状況を掴めていないゆめまるを引っ張って路地裏に逃げ込む。
ゆ「ちょっ」
「静かに」
俺がそう言うとゆめまるは口を噤んだ。
俺らが隠れてる路地の前を通る3人――マスクなどで誤魔化しているけど、今日会う予定の伊沢さん達で間違いないだろう。
ゆ「…あれって伊沢さん?」
「うん」
ゆ「…なんで隠れて――」
ゆめまるの言葉を遮るように伊沢さんが口を開く。
伊「棚からぼたもち感はあるけど A寝坊で良かったですね?」
福「まあ…冷静な判断が出来ないとボロが出やすいって言うし」
伊「りょうさんとの関係を問い詰めるには好都合」
川「……こっわ。この人ら敵に回したくないですね」
福「どうも?」
川「褒めてないです」
そう話しながら店の方へ歩いていく3人の声が雑踏に消えた。ゆめまると視線を合わせる。
ゆ「…今日、A来るってことだよね?」
「みたい。電話する?」
ゆ「焦ってたら出れんかもよ」
「そっか、じゃあLINEしとく」
冷や汗の止まらない状況に焦りが募る。まず俺らだけでしらを切れる自信がない。
どう考えても危機的だろこの状況…!
――数分待っても一向に既読は付かず、そろそろ向かわないと遅れる時間がきてしまった。
「見ないかも」
ゆ「…その時はその時だね。向かおっか」
上の空で歩く俺にゆめまるが口を開く。
ゆ「…ここに虫さんがいないだけマシだよ」
「え?いない方がやばいでしょ」
ゆ「“お兄ちゃん!?何でここに!”って言ったらおしまいやん」
「ああ… 確かに」
冷静さを失ってる俺に“乗り切らんと!”と背中を叩いてくれるゆめまる。心強い仲間に活を入れられ気持ちが少しだけ落ち着いた。
「…なるように、なるよな。」
ゆ「うん(笑) とりあえず今日は楽しんでこ〜」
店の中に入る前に軽く拳を合わせて、決戦に挑むかのように個室へ向かった。
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…挨拶を交わして席に着いてからというもの、伊沢さん達が核心に迫る様子はない。
注文した料理と飲み物が届いて乾杯をすると、距離を縮めるようにYouTubeの話やら世間話で盛り上がった。
Aの件を軽く忘れた時――個室の扉が開く。
『すみません 遅れました!!ってあれ!?』
驚いた表情のAを見て、一気に酔いが醒めた。
「『なんでりょうくん(A)がここに!?』」
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なお(プロフ) - 久しぶりに読み返してニヤニヤしてしまいました。気長に更新待ってます! (2023年2月9日 22時) (レス) id: 03abaf9ffd (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - はじめまして。話が好きすぎて何回も見返してます。更新頑張ってください!気長に待ってます。無理せず自分のペースで頑張ってくださいね! (2021年4月18日 2時) (レス) id: 6e1a7229cc (このIDを非表示/違反報告)
shion(プロフ) - 今日久々に読み返しておりました。ずっとずっと待っております! (2020年11月21日 0時) (レス) id: 87ea02ffa6 (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 気長に待ってます!お仕事頑張ってください!!! (2020年9月9日 22時) (レス) id: 28b84eb533 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - ひゅんさん» ご愛読有難うございます。大好きだなんて身に余るお言葉…とても恐縮ですが嬉しいです…!ゆっくりペースですが、これからもお付き合い頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします^_^ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 96a8d822a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年2月23日 19時