096.女の勘<時の運 ページ1
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こつこつと自宅でパソコンへ向かっていると、携帯が震えた。その瞬間にパッとディスプレイに表示される“福良さん”の文字。
『え』
業務連絡にしては遅い時間…こんな夜更けに何だろうと考えながら3Dタッチ機能を使って内容を盗み見る。
内容は明日に迫ったQKメンバーでのご飯についての話で、よしくんが行けなくなったとのこと。
LINEを開いて“わかりました!”と返信すると店のURLとマップが送られてきた。
…律儀だなぁ 福良さん。
お礼の言葉を述べてアプリを閉じる。
なんかちょっと――胸騒ぎがするような、しないような。
違和感に首を捻りながらまたパソコンへ向かうと、タイピング音に紛れて違和感は薄れていった。
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川「“あ、福良さん繋がりました もしもし?”」
『…はい』
川「“寝起き?”」
『え?』
川「“連絡来ないから電話したんだけど――”」
川上さんの声でぐっと現実に引き戻されて、冷や汗が止まらない。
時間をちらっと確認すると既に集合時間を過ぎている。
携帯の向こう側で“A?”という川上さんの声が聞こえる。
『やばいやばいやばい!!!』
川「“ちょっ、(笑)”」
吹き出したような笑い声が聞こえて、福良さんと伊沢さんの声が遠くに聞こえる。
一言で簡潔に言うと、寝坊しました。
東海とのご飯の時は間に合う程度だったのに今回は完全なる寝坊。目も当てられない。
頭を抱える前にとりあえず謝ると、“気にせんでええから、ゆっくりおいで”と笑ってる川上さんの声を聞いて電話を終了させた。
目を覚ますために浴室へ駆け込む。
…今日の飲み会によしくんは居らんしメンバーは伊沢さん川上さん福良さん――そして私。
まずすぎる。下っ端のペーペーが遅れられないって!よしくんがいても遅れちゃダメなんだけど…あほかや!
ひとりでそう考えては、ゴツンと浴室の壁に頭をぶつけて冷静さを取り戻そうとする。
『……いたい。』
が、痛みだけ残して状況はひとつも変わらなかった。
――シャワーから出ると幾分か落ち着いて、高速…いや光速で準備をして家を飛び出した。
電車に乗り込んで携帯を探す。
『連絡、連絡……あれ?』
どこを探しても携帯は見つからない。
全く、ツイてない。
…どころの騒ぎじゃない――というのを後から知る。
これは、いつも携帯電話を携帯してない私への天罰なのか。
りょうくんからの大事な大事なLINEはこの一件が終わった後 確認することになる。
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なお(プロフ) - 久しぶりに読み返してニヤニヤしてしまいました。気長に更新待ってます! (2023年2月9日 22時) (レス) id: 03abaf9ffd (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - はじめまして。話が好きすぎて何回も見返してます。更新頑張ってください!気長に待ってます。無理せず自分のペースで頑張ってくださいね! (2021年4月18日 2時) (レス) id: 6e1a7229cc (このIDを非表示/違反報告)
shion(プロフ) - 今日久々に読み返しておりました。ずっとずっと待っております! (2020年11月21日 0時) (レス) id: 87ea02ffa6 (このIDを非表示/違反報告)
タキ(プロフ) - 気長に待ってます!お仕事頑張ってください!!! (2020年9月9日 22時) (レス) id: 28b84eb533 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - ひゅんさん» ご愛読有難うございます。大好きだなんて身に余るお言葉…とても恐縮ですが嬉しいです…!ゆっくりペースですが、これからもお付き合い頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします^_^ (2020年5月17日 23時) (レス) id: 96a8d822a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年2月23日 19時