七話 ページ7
「あ、土方くん！」
「……ん、Aか」
Aはあのパーティーから数日、土方になつくようになった
「今日は護衛ないんだ！将ちゃんは今、えぇっと、キャバクラに行ってて」
そう言ってからAは土方にいきなり頭を下げた
「うぉっ、ど、どうした」
「そ、その今まで生意気なことを真選組の、ましてや副長さんに、ごめん。でも私はもっと土方くんと仲良くなりたくて、それで、」
「わかった、わかったから落ち着け。………俺も、お前と仲良くなりてぇ、し」
土方の言葉にAは喜び、土方に抱き付いた
「………ッ、A、」
「兄、上………」
土方はAの呟きを聞いて全身に冷水をかけられた様に固まった
………こいつは、今、なんて……？
兄、上……？
もしやその兄上とやらに俺が似ているからなついているのか……？
ドクドクと強く心臓が音をたてているのに気付かないAは笑みを土方に向けた
「あ、あのさ。土方くん、巡回中ごめんね。私、もう戻るから」
「………俺はお前の兄上なんかじゃねェよ。俺は土方十四郎。妹なんざいねェ」
そう突き放す様に言うとAは目に怯えを見せた
「……っわ、分かってる。でも私、土方くんのことを兄上と重ねて見てなんか、ないよ、さっきはそう、言っちゃっただけで……ちゃんと土方くんだって分かってる」
涙を必死に抑えているAを見て土方はハッとした
「わ、悪ぃ。………下らねぇこと言っちまって……」
そう言って道を引き返そうとする土方の腕をAは掴んだ
「私の兄上のこと、話すよ。だから少しいい？」
「……っああ、分かった。そこの公園でいいか」
「ん……」
何だ、コレ……
アイツに兄変わりにされたと思った位で、こんなに苦しくなってやがる
まさか、俺ぁ………
いや、違ぇ
そんなのは考えすぎだ
何故なら俺の中には…………
続く
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作者名：マピト | 作成日時：2018年4月21日 18時
