三話 ページ3
「これってどこの饅頭?」
「ああ、それはそこの角の……ってテメェは何でここにいやがる!?」
昼、土方が書類を片付けていると隣でのんびりとした女の声が聞こえた
「……つーかお前、昨日と雰囲気違いすぎんだろ」
昨日はあんなに殺気立ってたのによ、と土方が付け加えるとAは欠伸をしながら言った
「君、警察でしょ?だからいいかなって。あの銀髪のお侍さんは安心出来ないけど」
「まぁ、アイツは元反政府組だったからな」
「……うん、全て知ってる、君のことも。君は武州出身の蛙の子。確か……ミツバという女性と色恋関係にあった。ちなみにその女性はここ真選組一番隊隊長沖田総悟の姉。既に他界している」
そう、無表情で機会のように口にするAを土方は不気味に思った
何故、そんなことを知る必要があるのだ、と
「……私は将ちゃんの護衛係。知れる限りの情報は持っておく必要がある」
「……そうかよ」
Aは土方にそう言ってから目を閉じた
「……君みたいな人でも下らない色恋に嵌まるんだね…」
「……どういう意味だ」
「……いや?土方君が下らない色恋に嵌まる人とは思わなくて」
土方はその言葉にイラッとし、Aの方を見た
が、その表情を見て息を呑んだ
Aが馬鹿にするような顔でもなく、ただただ悲痛そうで泣きそうな顔をしていたからだ
「私も、下らない恋をしてるから」
そう告げるAに土方は疑問に思った
「何で会ったばかりの俺にんなことを言うんだ」
「……わからない、でも私と土方君は同じかなって」
一生叶うことのない恋をしている
そうAが言って立ち上がる
そして片手で襖を開けるとまたね、と言って静かに帰ってしまった
風のような女だ、と土方は思ってしまった
「………確かに、一生叶わねぇな」
そう、ポツリと呟いて土方は山の様に積んである書類に取り掛かっていくのだった
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作者名:マピト | 作成日時:2018年4月21日 18時