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と言っても最初から対して物凄く偉いことを遂げることが出来たかと言われればそうでも無い。本当に些細なことばかり。
幼少期にはおもちゃの取り合いになりそうな時は自ら相手に譲ったり最近では電車に乗っている時にドアの端に立っていた年配の方に席を案内してあげたり。
けれども生きている中で楽しいなんて喜の感情を感じたことも無い。むしろ私が自己表現や自己主張をしないことを裏目にとられて中学時代は散々ストレスのはけ口にされた。
けど、私は表情を一つも変えなかった。それを気味悪く思われたこともあったけれども殺しに関わることをやったくらいの私だ。別に命に関わることをやられなければこの息筋を苦痛だなんて感じたこともなかった。
「＿＿やっぱり屋上にいた！」
私にはそれよりも苦痛だと感じるものがここに来た時から目の前に現れたから。
「いっつも言ってるやん！なんでAはこうも毎回俺の事を置いてくん？」
「坂田には関係ない」
前世の記憶も残っていたからもちろん坂田との小さい頃の記憶も残っている。＿＿坂田のことはもっと前から知っている。
私の大好きな人で私が大嫌いな人。
「しんらつぅ。まぁいいや、お昼だけは一緒に食べよ」
「勝手に決めないでよ」
「別にええやん。どうせ一人なんやし」
誰も立ち入ることのない屋上の空間。自分が一人きりになるのにはうってつけだったのに坂田は容赦なく踏み込んで来ていた。しかも私のパーソナルスペースにまで。
けど自由奔放な性格も昔から受け継がれたものなんだろう。坂田は憶えていないだろうけど彼は正しく白翼の毛並みが綺麗な天使だった。純粋で真っ直ぐでけど少しあほで。
皮肉なものだ、また生まれ変わって同じ世界の中で巡り会わされるなんて。出来れば私が存在しない所で坂田は幸せになって欲しいと思っていたのに。
同じ高校の同級生で偶然ここで会ってからデリカシーの範疇も知らずに絡んでくるなんてやっぱり彼は再会した時も彼だった。
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作者名：夜紅茶 | 作成日時：2020年6月9日 16時
