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(久しぶりだなぁ…)
私の目の前には大きな庭園と城。自分の街にあるというのに、やはりここだけはどうにも別世界だけに見えてしまう。
奥様に断りを入れてから私は城の方へと顔を出していた。というにも“天宮様”からの招待は以外にも驚いた。
(まだ挨拶もした事ないのに…)
舞踏会の時は面と向かって話をしていない。見たことはあるが彼のことについては代表だということだけしか知らない。
だからこうやって目の前で話をするのは初めてのことなのだ。
「…A様、でございますか？」
急に門の前で話しかけられ振り向くと、年老いた執事のような方が穏やかな表情でこちらを見ていた。
「はい、そうですが…」
「お待ちしておりました。客室までご案内致します。」
「は、はぁ」
私は戸惑いながらも執事さんの後ろを必死について行った。城のある一室の扉前に着くとノックを２回鳴らした。
「どうぞー！」と聞き覚えのある声が聞こえてきて執事さんは「失礼します」と声を出し、あわてて私も声をかけた。
「いらっしゃい」
ソファの上に座っている鳶色の瞳の男性。先日、舞踏会の中で司会をやっていた代表貴族の天宮翔太様。
彼は爽やかな笑顔を浮かべ「下がっていいよ」と執事さんに言い、そのまま退室して行った。
「…お初にお目にかかります。」
「そんな畏まらなくたっていいよ。堅苦しいのはあんまり得意じゃないし。」
「えっ」
「あれ、意外だった？俺は結構人前で敬語とか使うの苦手なんだよね。」
「ま、とりあえず座って！」と言われたので驚きを隠せないまま私はソファへと腰掛けた。
なんか別人…天宮様って案外気さくな人なのかな？
「んで、早速話に入らせてもらうんだけど…その前に一個質問してもいい？」
「はい、どうぞ？」
「…最近なんか身の回りで“おかしなこと”でもあった？」
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作者名：夜紅茶 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時：2019年3月18日 7時
