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「初めまして、『アンダーロッキー』の代表“折原千里”です。よろしくお願いします。」
センラもまた流暢に紳士顔負けのお辞儀を披露した。…ま、でも今んところ興味を持ってなさそうな作り笑いを浮かべてるのは確かなんだけどな。
「ところでうらたん、昨日のパーティーをほったらかしにして行ったのってこの子の為だったん?」
「…ま、そこは水に流しとけ。」
「えぇー!うらさん教えてよ!」
「いいから!」と俺達を押しのけAの手を掴み、そのまま城の中へ逃げ込むようにうらさんは入っていった。
「…あの子、噂ではこの街一番の秀麗な使用人さんって聞きましたよ?」
「秀麗ね…ま、分からなくもないんとちゃうん?」
.。*゚+.*.。 ゚+..。*゚+
「う、浦田さん」
「……」
城の中へ強く腕を引かれどんどん奥へと進んでいく。浦田さんの表情は後ろからは見えないけれど何か怒っているような感じはこちらにも伝わってきている。
「…あれ?浦田さん?」
廊下でふと誰かとすれ違いピタリと浦田さんは足を止めた。振り向くと見覚えのある唐紅の瞳の彼がこちらを見たあとふわりと微笑んだ。
その姿を見た途端ふと、この前の出来事を思い出した。
『僕は『ウィッチクラフト』の代表“相川真冬”。また会おうね、お嬢さん?』
「…相川真冬様?」
「そうそう!昨日ぶり〜!」
すると相川様は急に「そうだ!」と浦田さんの方に向き直り、何かを伝え始めた。
「…マジか」
「だから早く行ってきた方がいいんじゃないですか?サニーフォレストのために」
話から察するにどうやら国関係の仕事なのだろう。それは是非行ってもらわなくては困る、というか私と遊んでいたらそれこそ私が民に恨まれる。
浦田さんはこちらをちらっと見たあとため息をひとつこぼした。
「まふ、お前このあとの予定はなんかあるか?」
「特にないですよ、なのでご心配なく執務を行ってきてください。」
「そうか…A」
「はい?」
私の方に向き直り、渋々と仕事のことについて話してくれた。…そんなに行きたくないのかな?
「…と、いうことだから。ごめんな?」
「いえ、お気になさらないでください!執務は大事ですからね。」
「…それもそれでなんか傷つくんだけど」
「えっ?」
「いーやなんでもない!んじゃ行ってくるわ!」
浦田さんはその場からいなくなり、私と相川様だけとなった。
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時