ガラスの花に麗しいキスを4【歌い手】 (ページ2)

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「…心臓に悪いです」

朝食を済ませた後、なるべく今朝のことを思い出さぬように坂田さんの顔を見ずにそそくさと軽く挨拶をしてからワープゲートで浦田さんの屋敷を通って帰ろうとした。

しかしその道中で坂田さんに見つかってしまい手を絡め取られて「送るから」と連行されている。

「最近Aも仮面が外れてきたよなぁ。めっちゃ分かりやすく顔赤くなっとるよ」

「実は私って代謝がいいのでそのせいかもしれませんね」

「ふふっ、さっきの発言はどこ行ったんかな？」

この人もこの人で言葉の回し方が上手い。自然と私が嵌められるように誘導されているような気がして注意をしているけれども坂田さんの自然な雰囲気に騙されて穴に落ちてしまうことが多い。

「しかしワープゲートを使用しないと致しますとどのような方法でトゥルースに向かうのですか？」

「ペガサス使うんよ。その方が早いし」

「ぺ、ペガサス？」

架空の世界にしか存在しないと思ってた。たまに奥様の書庫で見させてもらえる書物の物語でよく出てくることはあるのだけれどもペガサスなんてさすがにそんな…

『魔力を持つ国の普通はみんなそうだしな』

(…そういえばそうでした。)

浦田さんの言っていたことをふと思い出した。この国の“常識”は私達が認識している“常識”とはかけ離れている。理解するのにも少しだけ時間はかかったけれども今なら納得がいきやすい。

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