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「え…え?」
「アイツら魔法で気絶させたのか。まぁそれが最善だろうな。センラ諦め悪いし」
「手段が荒すぎる…」
「お前が頼んだんだろ。いつもこんな感じで頼られることがあんまりなかったから嬉しかったんじゃねぇの?」
私は「そうなの?」と聞くとカボチャさん達はクスクスと笑いながら周りをぐるぐると回っていた。意外と優しい。
そして一方センラさんはというと木板の上に横たわり寝息も立てずに目を瞑ったきりピクリとも動かない。改めて見ると本当に蝋人形みたいに綺麗に整いすぎていてちょっと不気味だ。
「息してますよね?」
「してるに決まってるだろ。こんなの1時間もあれば目覚める。実質怪物が粉砕骨折しても数時間あれば余裕でピンピンしてるし」
何その生命力。怪物の世界って生物学が発展しすぎじゃない?人間の医療技術よりも便利な世界だ。
うらたぬきさんは倒れ込んでいるセンラさんの元へ近づき手を翳した。すると瞬きをした瞬間センラさん、それどころかカボチャさん達の姿はそこから忽然と消えていた。
私は驚きながら「どこに行ったんですか?」と聞くと「自室に戻した」と普通のことをやったように言っている。まだこの魔法が当たり前の世界に慣れないから驚きばかりだ。
「そんじゃ、お邪魔者もいなくなったことだしお前の血をもらおっかなぁ」
「っえ」
一瞬油断していたがうらたぬきさんは私の両肩を掴んでまた首筋へと顔を近づけた。私は突然の発言に驚きながらも次にくる衝撃とトラウマにより身体を震わせた。
「…ま、今回はやまだぬき庇ってくれたから良いわ」
耳元で聞こえた低い声。捕まれていた肩から手がすんなり離された。驚きで私が拍子抜けしている間にうらたぬきさんは「やまだ」と呼ぶとやまだぬきちゃんは彼の方へと近づいていった。
そして足元まで来るとうらたさんは身体を持ち上げて自身の左肩に乗せた。
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