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その日は仕事中にも時々顔を出してくれて
「Aさん、あったかいお茶買ってきたよ!」
とか
「午後からしんどくなるかもだから、チョコレートちょっとだけ差し入れね!」
とか……
「あれで浮気してたら玉は相当器用な男だよな…」
と藤ヶ谷さんがつぶやくくらい献身的に
お世話してくれた
「昨日、北山と大丈夫だった?あいつが昨日言ってたこと気にしなくていいから!絶対ないと思うし」
「ふふふっ!ありがとうございます……北山さんにも謝られました」
「あいつ他にもなんか言ってたでしょ?」
「………なんでですか?」
「酔うと決まって話す話がある……昨日も結構呑んでたし……」
「へぇー………」
「誤魔化すの下手くそかっ!」
「えーっ!私、何も言ってませんよ!」
「顔に書いてあるよ!"告白されました"って!あいつなら絶対このタイミング逃さないだろうなって思ったんだけど 決めるのは俺じゃないし……と思って」
「………告白……されたというか………でも私、玉森くんのこと大好きですから……なんで帰ってこないのか分からないけど……この手を自分から離す事は出来ないです……」
「………だと思った」
藤ヶ谷さんが戻ってしばらくすると
定時のチャイムがなって
玉森くんが迎えにきた
「Aさんっ!定時だよ!もう帰ろう!今日は2人でゆっくりするって決めたから早く帰らないと」
「ふふふっ!ゆっくりする為に急ぐの?」
「そうっ!時間には限りがあるからねっ!ゆっくりタイムを確保する為に急ぐんだよ」
「じゃあ、今日はご飯何にしようかなー?ささっと食べれる物にしようか!」
「駅前のお店で買って帰ろうよ!Aさんのご飯美味しいけど、作ってたら疲れちゃうでしょ?今日はまったりだからね!」
「いいね!買って帰ろうか!」
久しぶりのデートみたいで
心が弾む
こんなに楽しいのに
こんなに幸せなのに
"どうして帰ってこないの?"
喉元に引っかかる言葉が
自分の首をしめた
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作者名:ゆり | 作成日時:2019年4月29日 16時