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「彼女と別れた………もうずいぶん前からうまくいってなかったんだ…… 見栄張って同棲してるって言ってたけど、本当は半年前に出てってから帰ってきてない……今日、家に帰ったらポストに鍵が入ってて あーこれで本当に終わったんだって………そしたら急に苦しくなって…Aさんの顔が浮かんで……」
「……………そうですか」
すがるように話す北山さんを
突き放すことが出来なかった
何時間待っていたんだろう…雨に濡れて
身体は冷え切っていた
「…………お風呂に入って行きませんか?」
自分でも思い切った事を言ったと思う
それは、事実上そういう事で………
でも、それでもいいから北山さんのそばに居たかった……
北山さんもずるいのかもしれない……
だけど、私だって一緒だ……
このタイミングを利用してもいいから
そばにいたい………
2人で部屋へ入るとびしょ濡れになった服を
洗濯機に入れてオーバーサイズのスウェットを出した
「これなら着れますか?私、下着とか買ってきます!今、お風呂沸かしてるので 取り敢えず、これ飲んで下さい」
暖かいコーヒーを手渡すと
「………ごめん」
一言だけ呟いてうつむいた
こんなに傷ついているのに
大好きな人が目の前でこんなに落ち込んでいるのに
どこか喜んでいる自分がいた……
どんな形でもいい…
私のところに来てくれたことが嬉しい……
コンビニで男物の下着を買うと
ビールとおつまみもカゴに入れて
走って家へ戻った
「お待たせしましたー」
ガチャっと扉を開けると
シャワーの音がする
(お風呂か…)
「ここに下着、置いておきますね」
一応声をかけて扉を閉めると
リビングに戻ってテレビをつけた
(あの北山さんが……私の家に………///)
改めて考えるとドキドキして
さくらに報告したい気持ちになる
"ガチャ"
リビングの扉が開いて
私のスウェットを着た北山さんが現れた
「身体あったまりました?やっぱり少し小さかったですね」
「あったまった………ありがと」
ご飯に行った時とは違う
どこか寂しそうな笑い方………
「私もお風呂はいってくるので、出て来たら飲みましょ!ビール買ってきました!」
「………うん……ありがと」
すれ違うようにソファに腰掛けて
テレビに目をやる北山さん
急いでシャワーを浴びて出てくると
北山さんはリビングのソファで寝てしまっていた
「…………疲れてたかな」
毛布をかけて改めて寝顔を見る
「………寝顔もかっこいい……///」
そっとテレビを切った
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作者名:ゆり | 作成日時:2019年3月30日 1時