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「いいの？」
「すみません、お願いします…」
「いくよ…？」
よいしょ、
彼はしゃがんだまま近付いて、私の腕の下に手を入れて小さく力を入れて私を立たせてくれた。男の人とこんなに近くになったことがなくて、反射的にうるさく動く心臓にこれは救助だこれは救助だ…と呪文のように教えてあげる。
「どう？立てそう？」
「あ…えっと…」
「手は掴んでてあげるから」
「…ありがとうございます」
「いいんだよ。そうだ、お友達のところ…って、え、どうしたんだ？！」
優しい人が助けてくれた嬉しさと男性の力のある腕に支えられてる安心感で、なんだか緊張がほぐれて気付いたら涙が出ていた。
泣くつもりなんてなかったのに…どうしよう、止まんない、迷惑だし変な人だと思われる…。
「ヤー！どうしたんだよー！」
「うぅ…わかりません」
私を助けてくれたその人は、あまりにも私が子どもみたいに泣くから、焦って笑ってしまったみたい。恥ずかしい…泣いてるブサイクな顔なんてこんなイケメンに見られたくないのに、両腕が掴まれてて隠せないから頑張って下を向いた。
「よしよし、不安だったんだね？大丈夫だよ！」
「ごめんなさい……」
「ちょっと僕に体預けてね？動かないでね」
俯いてうぐうぐと鼻を啜っていると、体が勝手に動く。どうやら彼が後ろ向きに進んで私を壁側にやってくれているみたいだった。
「ほら、端っこにきたよ」
「壁…」
「うん、安心できた？」
「すみません…」
顔を上げると、グジュグジュになった私の顔を見て少し困ったように笑う。私の腕の力が少し緩んだのに気付いて、彼は右手で私の頭を撫でながら
「もう大丈夫だよ、落ち着こう」
と言って、私がゆっくり呼吸できるようになるまでずっと手を支えてくれた。
「あの、もう大丈夫です。本当にありがとうございました」
「本当かな？そうだ、せっかくだし、スケートしてみる？」
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作者名：09 | 作成日時：2021年10月17日 19時
