ピーチメルバ JN (ページ6)

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「変なこと聞くけど、君、韓国人？」
「…あー、違うんです」
「日本人かな？」
「そうです…」

そっかそっかと彼は頷いて周りを見渡してから、「ひとりなの？旅行？」と聞いてきた。

「友達が見つからなくて…それで転んじゃって…」
「で？君はひとりで立てないの？」
「…はい」

助けてほしい、ほんとに、いよいよお尻が湿ってきて冷たいのがわかる。彼に頼るのもなんだか図々しい気がするけど、ここにずっと座っていても誰も助けてくれない気がして、私は初めて自分から意思を伝えた。

「あの、助けてもらえませんか…？」
「？」
「助けてください！立たせてください！」
「…」

韓国語、間違ってるのかな…全く意味が通じてなさそうな顔をするから、イライラして腕を高く上げて、抱っこをせがむ子どもみたいに必死に訴えた。これだけ訴えたら、流石に通じるよね…。

「ごめんごめん、意地悪しすぎちゃったね、困ったな…」
「…え、」
「ううん、ちゃんと助けるから。えっと、まずかかとをくっつけてVの形に……」

困った。ゴニョゴニョと早口で喋られてしまっては、全く聞き取れない。私を助けようとしてくれてるのに申し訳なくて、どうしようどうしよう…って頭が真っ白になる。

「あ、あの！抱き上げてくれませんか」

我ながら大胆なことを言ってるなと思う…。でもなんだか、母国語じゃないと不思議と平気だ。

だけどやっぱり、出会ったばっかりなのに抱き上げてくれなんておかしいよね……男性は少しハイネックから出た素肌を赤くさせて困っている。