ピーチメルバ JN (ページ16)

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「今日もひとり？」
「はい。ソラはバイトで…あ、えっと友達です」
「昨日のジョングクの？」
「あ！そうですそうです。そういえばここ、ジョングクさん働いてらっしゃるんですね」
「そうなんだよ、居心地もいいし、だからよくここでこうやって課題やってるんだ」

そう言うと、またふわぁ、とあくびをもらす。とても気持ちのいいあくびで私にまで移ってきそう。

自分の心臓の音がゆったりトクトクと鳴っているのがわかるくらい、眠ってしまいそうな空間を創り出す彼はやっぱり、本当に優しいひとなんだと改めて思った。

「お疲れですか？昨日私が無駄に疲れさせてしまって」
「違う違う、そんなことないよ。明日までに終わらせたいからね、昨日も徹夜しちゃって」
「そんなに大変なんですか…本当に私、どこか別のところに」
「あのさ君。………そういえば、お名前は？」

急に真剣な顔になる男性に、なにか失礼なことを言ったかなとヒヤッとする。

「Aです…」
「わかった。Aちゃん」

急に名前で呼ばれて違う意味でまた心臓が大きく鳴って、思わずまた「すみませ、」と謝りそうになったとき、

「ほらーー！そういうところ！」

と男性の大きな声。
そういうところ…？ぽかんとしていると、彼は身を乗り出して優しく目を細める。

「なんでそんなに遠慮してるの？僕ってそんなに怖いオーラ出してる？君が僕をもし否定でもしたら、手を出したり罵ったり」

そんな風に思ったことは絶対なかったから、首を横に振る。

「そう、ならよかった。じゃあもう僕に気を使わなくていいから。あ、ほら、また出会ったのも運命か何かじゃないかな」

運命…。小さく口の中でつぶやく。

今まで運命だと感じるような経験はなくて、何が運命なのかわかんなかったけど、そう言われるとなんだか不思議な気持ちがする。
いや、運命とまではいかなくても、なにかの縁があるはず。自然とそう思った。