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それから、日を空ける事無く3日間。
私は毎晩同じ金魚鉢で泳いだ。
それはとても優しく可愛い、
それでいて、
時折すごく寂しそうな目線の先で。
『朝霧さんさすがですね!世界的アーティストまで骨抜きにしちゃうなんて!本当頼りになるよー!♪』
「日本人が珍しいだけですよきっと。」
私がそう言えば
今日もよろしくねー!と、
いつもよりおべんちゃらを並べ、
笑顔で“朝霧”と言う名の商品を
見送る、店の人。
○○○ホテル
ご予約者様:ビッグヒット様
本指名:朝霧
時 間:宿泊コース
「...あぁ、だからか。」
コースの時間の長さを見れば、
店員のあの態度にも納得する。
そして、今日も今日とて
同じ金魚鉢へと泳ぎに行く。
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「ジミンさん、お呼び頂きありがとうございます。」
『あの、今日は、一緒にご飯を食べてくれませんか?用意しておいたんです。』
4日目の今日、ジミンさんは私にそう言った。
そんな事、良いんですか?そう聞けば、
ゆっくり話がしてみたくて、なんて可愛らしく笑うジミンさん。
あぁ、これは人気出るのも頷けるな。
それにしても素でこんなこと出来るのは、
天性とは良く言ったもんで、
根っからのアイドルってやつなのか
はたまた、
芸能の世界でファンの為にと色付けし、
もはや染みついて拭いきれない汚れなのか。
なんて、そんな事を思うけど
そんなことを考えるのは辞めた
方が良いに決まってる。
「じゃあ、お言葉に甘えてご一緒にいただきます。」
『ふふふっ、やったぁ!じゃあ、こっち座ってください♪』
どちらにしても、私には関係のないこと。
それに、この手の場合どうせ最初に聞かれることは決まっている。
『どうして、こんな仕事をしているんですか?』
“こんな”仕事...
よくもまざまざと、
少し慣れれば心を開くとでも思うのか、
バカな男共は揃いも揃って言いやがる。
“こんな仕事”がなければ
その欲を満たせないのはお前達の方だろう。
まぁ、その男共のお陰で
飯が食えているのだから、
こうして下に見られるのも
仕方の無いことで、
それもまた、慣れたのだけれども。
「..さぁ、ジミンさんのように、私を必要としてくれている方が居るからでしょうね。
逆に聞きますけど、ジミンさんはどうしてアイドルをなされているのです?」
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作者名:ぽん | 作成日時:2019年10月2日 16時