金魚鉢。 (ページ5)

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５─JMN side─ ページ5

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『殿方様とお会い致しました。はい、それじゃ。』

１本電話をさせてくれと言った
彼女の言葉を了承すると、
ありがとうと俺に微笑み掛け

受話器の向こうにそう伝えると、
俺の目の前でスマホの電源を落とした。

『私が帰るまで、預かっていて下さい。』

「...え？」

そう言いながら
自身のスマホを俺の手に握らせると、

『..これで少しは、解放…されるだろうて。』

耳元で囁き、
人指し指で内股をなぞり、
優しく微笑む朝霧さん。

この人は知っている...

自由のない世界を生き、

何に怯え、何を恐れているのか。

全て見透かすように囁いた
“解放” と言う彼女の言葉は、

どこか、心の奥で常に感じていること。

シャワーを浴びて、身体を洗い合う。

それだけで溶けてしまいそうになる。

俺は、アイドルだと言うのに...

辛うじて保つ最後の理性をも、

ベッドに腰掛ければ、

『...何をよそ見しているの？

今ここには、あなたと私の２人だけ...

…ありのままの貴方を、みせておくんなんし。』

唇が触れるか触れないか、

もどかしい距離でそんな事を言われれば、

もう、抑える事が出来なくて...

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「っ…！！！」
『んぁっ…...』

我を忘れて朝霧さんを

何度も、何度も...求めた─────…

「...ごめんなさい、痛くなかたですか？」

俺がそう聞けば、
余韻が残るため息と共に頷き

『..久しぶりです、そんな事を言われたの。』

なんて寂しそうに微笑み、

シャワーで身体を流し合い終えると、

『それでは、ゆっくりお休みくださいね。』

なんて言って、ドアノブに手を掛ける彼女に

「待って！！」
『...はい？』

「...あの、また…会えますか？」

心が思うよりも早く、口をついて出た言葉。

こんな風に思った女、初めてだ。

もちろん何度か日本でも
この手の人を頼んだことはあった。

けど、まだ部屋を出ても居ないのに

“もう会いたい”、なんて思う女...

『ふふっ、はい、ジミンさんが呼んで下さるのならば…いつでも。』

そう微笑んだ朝霧さんは、

あまりにも美しすぎる余韻を残して

俺の部屋を出て行った───...