金魚鉢。 (ページ18)

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１８─JMN side─ ページ18

──────…

『...それからやな。俺達もあぁなる位やったら、俺は絶対Aとの関係を変えんとこ思ったのは。

それに、アイツ自身俺との関係を変えたいなんて思ってなさそうやって、いつも言うねん。

“私は裕くんの目に映れる事が幸せ
　それ以上何も望んでないんだ”って。

“裕くんは皆のものだよ”って幸せそうに笑われたら何も言えんやん。』

そんな裕さんの話を聞来ながら、

俺は思い出して、後悔した。

“何でこんな仕事をしてるの？”

って質問してしまったことを...

“普通好きな人だけとしかしたくないはず”
“何か力になってあげたい”

なんて、偽善者でしかない考えを
持っていたことを...

だってAちゃんは、

“好きな人に抱かれる為”

この仕事をしているって
目の前の人の話で分かってしまったから。

でもだったら、尚更あの時の
寂しそうに笑ったAちゃんは
やっぱり、

「...それ、甘えてるだけじゃないですか。」

裕『...え？』

「..どれだけ強がったって、Aちゃんも女の子ですよ。

確かに裕さんとの時間を過ごす為にこの仕事を選んだのはAちゃん。
だとしても、彼女はただ好きな人と居たいって言う普通の女の子じゃないですか。

あなたはそれに甘えて諦めて、好きな男以外に抱かれるなんて地獄のような毎日に、彼女を縛り付けてるだけじゃないですか！！！

男として最低です！！！！」

TH『...ジミナ、、』

裕『..。』

「..好き同士なのに、結ばれないなんて...そんなのって、ないです。」

せっかく出来たカサブタが、
涙でふやけて剥がれていくみたい。

悔しくて..いや、本当はすごく羨ましい
んだと思うこの人が。

この人以外見えていなくて、

この人の為に嫌な顔１つせず
他の男に微笑んで、

この人の為に生きている、

Aちゃんから、こんなにも
全身全霊身も心も捧げた愛情を
尽くされているこの人のことが、

羨ましくて妬ましくて仕方ないんだ。

そう気付けば気付くほど、
Aちゃんへの気持ちが溢れ出す。

裕『..ありがとうジミンくん、キミのお陰で決心したわ。』

「...いえ、俺は別に。」

そんな裕さんの言葉に、
なんだか切なさが込み上げてくる。

何してるんだろ、俺...

でも、これできっとAちゃんは
幸せになれるんだ。
仕事も辞めて、裕さんの傍に...

僕の入る隙間なんて、

“最初”から、

１ミリも無かったんだね。