REBORN ―己の使命。そして存在―弐 (ページ46)

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弱音ページ46

貴「意味分かんない。向こうは負けても皆生きてるし…。私の気持ちとか考えたことないくせに。あの女だっていずれ明日には記憶もなくなっちゃうし。皆は全然かなしんでないし。私だけカラ回りみたいじゃん、意味分かんない。」

そう、確かに姫君の試験で死んだ者は次の日には誰の記憶にも戻らないと言うルールがある。それはAは知らない『ハズ』だった。

もちろん、ヴァリアーの幹部は皆知っていることだった。しかし、今のAには重すぎると、黙っていたのだ。

貴「あの人たちには分からないよ。もう会えない人の事をずっと考え続ける気持ちとかさ、そういうの。」

Aは独りでずっと喋っていた。

どうしても、返事をすることが出来なかった。返す言葉が見当たらなかったのだ。

貴「もしかしらまた会えるかも、なんて思えないし、どっか遠くに行くのとは別にさ、手の届かない所に行っちゃった人への気持ちさ。皆平気みたいにさ。兄さんも、何考えてるのか、分からないよ。」

段々と感情だけで文を構成しているようになっていっていた。

吐き出したい気持ちがその言葉には詰まっていた。

祐「…『もしも』の話しでも、いいんじゃないか。」

貴「はぁ？何が？」

祐「もしかしたらまた会えるかも、って。この世が絶望だけで出来てる訳じゃない。それは変わらない。」

よっと、と声を出して背負いなおす。

べ「そーそ。それにあの鮫が簡単にしなねーよ。」

ベルも横に並びAに声をかけながら歩いていた。

Aが俺の肩に顔をうずめてくるのがわかった。

貴「…スクアーロ以外生きてるから、いい。」

あくまでも現実を見て生きて行くらしい

少しくらい目をそむけてもいいとは思うのだが。

貴「…ぅ。」

べ「？姫、どうかしたの」

貴「何かクラクラする……。気持ち悪―――」

祐「？…、熱中症だな。すぐにホテルに戻るぞ。」

そういって俺とベルは夜道を走っていた。

―――

貴「所で、この点滴は？」

祐「…あぁ、軽い熱中症になっていたからな。昨夜は暑かったし、かなりの距離を走った後で、さらに酒まで飲んだからな…。」

あ、そっか。と軽い返事。その声でベルがおきた。

べ「ん……」

貴「あ、ベル………ちゃんとは覚えてないんだけど、昨夜はごめん!!!」

そういってチューブが付いているにもかかわらず、ベッドの上で土下座を始めた。

この光景、結構…いや、かなり…いや、最高に…いや、最上級に笑える光景だった。