標的164 野球 ページ21
＊
次の日。
「グハァ…ッ！！！！」
「あー、また空振りだー！」
「ハハハ、SCAMP様。ちゃんと打ってくださいよ〜。」
「だってお前の球、豪速球すぎるんだもん。もう〜、次は絶対当ててみせるぞ！」
霞む視界で前を見ると、そこには野球バットを構えて背を向ける珀兎くんがいた。
部屋の奥にはピッチャーらしき男。
今日は野球で遊んでいるらしい。
私はどうやらキャッチャー的ポジションのようだ。
だが拘束されてるせいで、飛んできたボールをただただ身体全身で受け止めるしかないのが現状。
つまりはただのサンドバッグだ。
「……っ。」
私は身体中をジンジンと蝕む激痛に耐えられず、ぽたりと涙を流した。
こんなことがいつまで続くんだろう。
明日？明後日？この先ずーっと？
考えても仕方ない。絶望するだけだ。
早く痛みを忘れたい。苦しみを感じたくない。
…もう、いっそ死んだ方が─────
そこで私は、ハッとして考えを否定した。
…ダメだ。私は、ベルに殺されたいんだから。
せめて、最期にもう一度だけベルに会ってから…。
「グホ…オッッ！！！！」
「あー！また空振りー！ってか、Aちゃんみぞ入った？入った？あははっ、痛そー！！」
「彼女、そろそろ限界じゃないですかね。」
「ん？あーそうかも。じゃあ晴アンコウで治しといて。また遊ぶから。」
「はい。」
男が匣を持って私に近付くと、珀兎くんはニコニコとノートを広げだした。
「日記書くぞ〜。今日は、お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に野球をして遊びました。楽しかったです…と。ふふっ、次は何の宿題やろうかなー。」
ああ、神様。
何故こんな奴を転生させたのですか……。
・
・
・
・
───バタンッ！！
同時刻、ヴァリアー城ではベルが不機嫌そうにメイド長の元を訪ねていた。
「！ベル様。」
「Aどこ。」
「その…まだ戻っていませんが。」
「は？アイツオレとの約束破ったワケ？今日このゲーム一緒にやるって言ってたんだけど。」
そう言ったベルの手には、本日発売したばかりの新作ゲームのパッケージが握られていた。
「…ったく。昨日の用事、何だったか詳しく聞いてないの？連れ戻してぶん殴ってやりたいんだけど。」
「詳しくは……。あ！でも、知り合いの子供に会いに行くとは言ってましたね。」
「知り合いの子供…？」
ベルは顎に手を当て考える。
「アイツの知り合い…。」
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使用人A - 椎さん» こちらこそありがとうございました！いつもいつも椎さんのコメント、嬉しく思っていました( ; ; )大好きという言葉だけで充分です！本当に励みになりました！今後もぜひ短編集などでお楽しみください(^^) (2021年5月17日 1時) (
レス) id: 0294ce9dbf (このIDを非表示/違反報告)
使用人A - あうらさん» うぅ、そんなこと言っていただけて嬉しいです( ; ; )ありがとうございます！！ (2021年5月17日 1時) (レス) id: 0294ce9dbf (このIDを非表示/違反報告)
椎(プロフ) - ありがとうございました。本当に最高でした。私の語彙力がなくどう申し上げれば良いのかわからないのですが、本当に大好きです。短編集も大事に読ませさていただきます。完結までこの作品を書き上げていただきありがとうございました。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: 28ea984428 (このIDを非表示/違反報告)
あうら(プロフ) - 使用人Aさん» 本編、とても最高でした！！！本編終わってしまったということですが、何度も読み返したいと思ってます!!今後の作品も楽しみにしてます！ (2021年5月14日 23時) (レス) id: 9595e28ab8 (このIDを非表示/違反報告)
使用人A - フレアさん» いつもいつもコメントありがとうございます！！フレアさんの言葉、いつも励まされてきました！ありがとうございます( ; ; )お知らせにも書きましたが、一応その後の日常としてちょっとした短編集的なのを書くつもりなので、よろしければそちらもお楽しみください(^^) (2021年5月14日 18時) (レス) id: 0294ce9dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：使用人A | 作成日時：2021年3月24日 23時
