狂人島【オワリの始まり編】 (ページ10)

今日:15 hit、昨日:27 hit、合計:26,766 hit

悲しみに暮れる仲間たち④ ページ10

潤くんがこの場からいなくなると、今まで黙って涙を流していたニノが大ちゃんの髪に触れた。

乱れた髪を直すように、細い指先で丁寧にといてあげている。

その優しい触り方が、まるで恋人に触れるかのようだ。

かと思えば、今度は母親が子供の頭を撫でるように、大ちゃんの頭を何度も何度も撫でている。

大ちゃんは子供のようなあどけない顔で眠っている。

さっきまでの苦痛から解放されたからか、安らかな表情をしている。

死に顔とは思えないほど綺麗な顔だ。

肩を揺らして起こせば、目をこすって起きそうなのに、そんなことは二度とは起こらない。

和「…智……」

大ちゃんの頭を撫でながら、ポツリと呟いた。

そのうちニノの手が、大ちゃんの首に触れた。

大ちゃんの首にはロープの痕がくっきりと残っている。

首を一周する内出血の痕を、ニノが指でなぞった。

和「…苦しかったな…智…」

優しく声をかけながら今度は頬に手を添えると、もう息をしていない親友の顔を見下ろした。

和「…智…智…さとしっっ…っ」

大ちゃんの顔に大粒の涙を落としながら肩を震わせた。

俺は、そんなニノの肩をそっと抱いた。

ニノの震えが伝わってくる。

俺も一緒に肩を震わせて泣いた。

翔ちゃんも声を震わせて泣いている。

きっと今頃潤くんも、一人で泣いているに違いない。

俺達は大事な親友を失ってしまったんだ。

今でも鮮明に覚えている。

5人で過ごしてきた日々。

5人で笑い合った時間。

大ちゃんの穏やかな口調と柔らかい笑顔。

これら全てがもう、思い出の中でしか存在しないことに、胸がギュッと締め付けられて息が出来なくなった。