狂人島【オワリの始まり編】 (ページ5)

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発症② ページ5

翔ちゃんの顔をめがけて、ナイフが振り下ろされた。

それを翔ちゃんは、間一髪で大ちゃんの手首を掴んで止めた。

だけど、その翔ちゃんの手を振りほどき、再び大きくナイフを振り上げた。

智「ヒャハハハっ、バイバイ翔ちゃんっ」

今度こそ翔ちゃんの頭を突き刺すであろう大ちゃんを、俺とニノと潤くんで取り囲んで3人がかりで抑えた。

智「離せコラ"ァッッ！！！」

左右後ろから抑えるも、大ちゃんはバタバタと暴れている。

体は小さいのに力は強くて、左右の腕を抑える俺とニノの腕が振りほどかれた。

それと同時に、大ちゃんの右手側にいたニノが、頬を思いきり殴られた。

小柄で華奢なニノは、大ちゃんの強いパンチで体が吹っ飛んだ。

雅「ニノっ！！」

ドゴッッ

声をかけた瞬間、お腹に重い衝撃が走った。

大ちゃんの肘が、俺の溝落ちに食い込んでいた。

一瞬息が止まり、あまりの苦しさに膝から崩れ落ちた。

だけど、お腹を抱えたままなんとか顔を上げると、今度は潤くんの足に、強烈な蹴りを入れているのが見えた。

弁慶の泣きどころと呼ばれる向こうズネを蹴られた潤くんは、その場にしゃがんで足を押さえている。

一瞬にして俺達3人の拘束を解いた大ちゃんは、自由になった体に勢いをつけ、再び翔ちゃんに向かってナイフを振り下ろした。

ギリギリ翔ちゃんに届かなかったナイフは、風を切るように空振りをした。

容赦のないその速度に恐怖を感じたのか、翔ちゃんはガクガクと足を震わせながら後ろ向きで逃げ出した。

だけど、その不安定な足がもつれて、背中から勢いよく転倒した。

仰向けに倒れた翔ちゃん。

その翔ちゃんの上に、大ちゃんが馬乗りになった。

ナイフを両手で握り締め、再び容赦なく振り下ろすと、翔ちゃんがまた手首を抑えて止めた。

だけど、ナイフの先端が翔ちゃんの額のすぐそこにある。

少しでも力を緩めれば、すぐにでも額に突き刺さってしまいそうだ。

助けなきゃっ・・

そう思っても、さっきお腹に食らった衝撃が重過ぎて、なかなか立ち上がることが出来ない。

ニノも殴られた衝撃が重かったのか、立ち上がれないでいる。

翔ちゃんの腕がプルプル震えだした。

もう力尽きそうだ。

どうしようっ・・！

智「ヒャハハハッ、死ねぇッッ！！」

高笑いして叫んだ瞬間。

大ちゃんの首に縄が巻きついた。