狂人島【オワリの始まり編】 (ページ38)

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届け！HELP ② ページ38

あれから何時間経っても、ヘリは通らなかった。

気温は更に上がり、汗となって体の水分が逃げていく。

ペットボトルの水も残り僅か。

ゴクッと飲む余裕もなく、口に含ませる程度。

きっと、明日まではもたない。

今日中に助けが来なければ、俺達の生存率は一気に下がるだろう。

日が沈むまでのあと何時間かが、タイムリミットだ。

僅かな望みが消えてしまうのが怖くて、俺は気を紛らわす為に、ニノに話しかけた。

雅「ねぇ…ニノってさ、なんで恋愛に興味ないの？」

和「…別に、興味ないわけじゃないよ」

雅「えっ、そうなの！？」

和「俺、そんなこと言った？」

雅「いやっ…言ってないけど…」

和「じゃあ、勝手に決めつけんな」

俺の質問に気を悪くしたのか、口を尖らせている。

これは、ニノが不機嫌な時に見せる仕草だ。

聞いてはいけないことだったのだろうか…。

中学からずっと一緒にいて、俺は好きな子ができる度に、ニノに相談していた。

ニノも嫌な顔せず聞いてくれていた。

だけど、ニノからそんな話を聞いたことはなかった。

だからてっきり恋愛に興味が無いんだと思っていた。

何かトラウマでもあるのだろうか。

詳しいことは分からない。

だけど、これだけは確かだった。

雅「今まで彼女っていたことないっしょ？」

和「………」

雅「ってことは、ニノまだ童貞だよね(笑)」

和「…うるせーな。だから、勝手に決めつけんなっつってんじゃん！」

雅「えぇー！！ニノ、童貞じゃないの！？ニノ、意外と女遊びとかしてんの！？」

和「俺が女遊びしてるかどうかも、俺が童貞かどうかも、おまえには関係ねーだろうよ！」

突き放すように言うニノ。

関係ない…

あまり触れてほしくない話題とはいえ、『関係ない』と言われてしまったことが、なんたがすごく寂しかった。