狂人島【オワリの始まり編】 (ページ34)

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約束① ページ34

砂浜の大きな岩の前であぐらをかいて座るニノは、手元に置いてあるリュックを開け、中からペットボトルの水を2本取り出した。

そのうちの1本を俺に差し出す。

和「これしかないんだから、ガブ飲みすんなよ？」

雅「分かってるよ！」

そう言ってニノから水を受け取ると、未開封のフタをグリッと回して、チビチビと水を口へ運んだ。

すっかりカラカラになった喉が潤って、生き返るような気分だった。

ニノも少しずつ水を口に含んでいる。

ニノはペットボトルを口から離し、指先でクルクルとフタをしめると、再びリュックの中へ手を突っ込んだ。

ニノの手によって、リュックの中から次に姿を現したのは。

拳銃だった。

雅「わあっ！！」

その風貌を目にして、思わず叫んだ。

和「なんだよ、ビックリするだろ！」

雅「こっちのセリフだよっ！！なんでこんなモノ持ってんの！？」

和「あそこから持ってきたんだよ」

渡辺さんが持っていた拳銃を拾ってきたのだろう。

雅「ビックリしたぁ～！ニノ、家から拳銃持ってきたのかと思ったよぉ！！」

和「おまえ、俺をどんな奴だと思ってんだよ」

危ない奴かと思ったよ…

雅「こんなの持ってたらさっ…危ないじゃん！！」

和「使い方さえ間違わなければ、何かの役に立つと思ってさ」

使い方さえ間違わなければ・・。

俺の中ではもう…人を殺す為の道具にしか見えない。

この拳銃で2人の人間が死んだんだ。

狂人と化したタカコさんを、渡辺さんが撃ち。

狂人と化した潤くんが、渡辺さんを撃った。

あの銃声が、今でも耳にこびり付いている。

渡辺さんを撃っている時の潤くんの姿も、目に焼き付いて離れない。

そして、その潤くんを、翔ちゃんが・・・。

あの時の映像が頭に蘇ってきて、俺は頭をブンブンと横に振った。

思い出したくない。

また一気に恐怖と悲しみに襲われてしまいそうだった。

そういえば、ニノは荷物を取りに行った時、翔ちゃんの姿を見たのだろうか。

翔ちゃんはどうなっていたのか…。

聞きたいけど、聞く勇気がなかった。

ニノもまた、翔ちゃんのことは一切口に出さなかった。