狂人島【オワリの始まり編】 (ページ33)

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姿を消した親友③ ページ33

掴んだ服を体ごと引き寄せ、その華奢な身体を力いっぱい抱き締めた。

雅「…良かったっっ…良かったよ、ニノっっ…っ」

本当は怒ってやりたいのに、それ以上に、ニノが生きていたことが嬉しくてたまらなかった。

和「やめろって、苦しいよっ」

俺の肩を掴んで引き離そうとするニノ。

だけど、その力は本気じゃなかった。

俺は絶対に離すまいと、抱き締める腕を緩めなかった。

　
和「…黙って行って悪かったよ…ごめん。だからもう離してよ…」

雅「もうっ…一人で行かないでっ…」

和「えっ…？」

震える腕で抱き締めながら、俺は情けない声で言った。

雅「お願いだからもうっ…どこにも行かないでっ…」

和「雅紀…」

雅「お願いだからっ…俺をひとりにしないでっっ…」

和「………」

抱き締めるというよりも、ニノにしがみ付いていた。

怖くてたまらなかった。

ニノまでもが、俺のそばからいなくなってしまうのが。

本心から出た俺の本気の言葉だった。

そんな俺の気持ちを受け止めてくれたのか、ニノは何も言わずに俺の背中に手を回した。

抱き合う俺達を、浅い波がサラサラと撫でていった。