姿を消した親友�� ページ31
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雅「ニノっ・・！？」
俺はすぐに体を起こした。
そして、その勢いで立ち上がった。
キョロキョロと周りを見回す。
いない・・・
ニノがいない。
なんで・・・？
一気に不安な気持ちに襲われた。
視界に映るのは、漆黒から濃い青色に変わった海。
相変わらず波が押し寄せては引いていく。
もしかしてっ・・！
嫌な予感がして、真っ直ぐに海の方へ駆け出した。
そして、迷うことなくそのまま海の中へ入っていき、バシャバシャと飛沫を立てながら突き進んでいく。
ニノがこの海の中にいるんじゃないかって気がした。
俺が寝ている間に、苦痛に耐えきれなくなって、一人で静かに海に身を投げ出したんじゃないかって。
膝上辺りまで浸かる海の中で、必死に両手で水をかき分けた。
雅「ニノっ！！ニノっっ！！！」
ぬるい海の中で、姿の見えないニノを必死に探した。
ニノっ・・ニノっ・・ニノっ・・・
腰まで浸かった途端、一気に波の力が強くなった。
身体が波に持っていかれそうだ。
ニノだったら、ひとたまりもないだろう。
きっと既に、飲み込まれてしまったんだ…。
突然ひとりぼっちになってしまった不安と恐怖と悲しみに、もう耐えきれなかった。
だったら俺も連れてって…
俺は波に抗うことをやめ、この身を任せることにした。
ゆっくりと身体が沈んでいく。
身体が波に乗って流されていく。
次に目を覚ました時には、どこに辿り着いているだろう。
どうか、あの4人と同じ場所へ連れていってください。
俺の意識は眠るように遠くなっていった。
これでやっと
解放されるんだ・・・
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2021年2月6日 0時
