狂人島【オワリの始まり編】 (ページ30)

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ニノ③ ページ30

俺とニノが初めて出会ったのは、中学の時だった。

高校で知り合った3人よりも、一番長い付き合いだ。

中学2年の時に、ニノが俺のいる中学校に転校してきた。

クラス替えをして、人見知りな俺は、クラスに友達がいなかった。

そんな俺が一番最初に仲良くなったのが、ニノだった。

ニノはおとなしかった。

だけど、人の懐に入るのが上手いのか、すごく話しやすかった。

ニノも俺と一緒にいるのが居心地良かったのか、ずっと俺のそばにいてくれた。

季節は秋になり、金木犀の香りが学校の窓の外から漂い始めた頃。

ニノが、クラスの男子にハブられた。

原因は、そのいじめの中心となっていた男子生徒が、好きな女の子にフラれたこと。

その女の子に、「二宮君が好きなんです。ごめんなさい」と言われてフラれたらしい。

ニノは、そんな理不尽な理由でいじめを受けた。

ニノと話していた友達が、だんだんとニノから離れていった。

いじめに巻き込まれたくないから。

いつしかニノの周りには、俺しかいなくなった。

理不尽な理由でいじめを受け、友達がだんだん自分から離れていく。

俺だったら耐えられない。

学校なんて行かなくなる。

だけど、ニノは学校を一度も休まなかった。

それどころか、いじめている男子のことも、自分から離れていった友達のことも、誰一人悪く言うことはしなかった。

仕返しをすることもなかった。

ただ黙って、事が過ぎ去るまで堪えていた。

そんなニノの姿に、俺は心を打たれた。

この人は、なんて強い人だろうと思った。

そんなニノが、俺は大好きだった。

だから俺は、ずっとニノのそばにいた。

自分に被害が及ぼうと関係なかった。

クラスの連中が離れていく中、俺だけは最後までそばにいたんだ。

俺は自分がイイ奴だなんて思っていない。

ただ俺が、ニノのそばにいたかっただけ。

それからずっと一緒にいるね…。

自分の人生の中で、ニノの存在がこんなにも大きかったことに、俺は改めて気が付いた。

ふと目を開けると、辺りが薄っすらと明るくなっていた。

いつの間にか眠っていたらしい。

もうすぐ夜が明ける。

俺は隣に目を向けた。

ニノがいなかった。