友との決別�� ページ27
もう気が遠くなってその場に崩れた。
息が詰まって苦しくなってきた。
鼻の奥が熱くて痛い。
喉が締まって重たい。
痙攣するように引っ張られる唇。
グッと歯を噛み締めた途端、目から一気に滴が溢れ出した。
胸の奥からしゃっくりのようなものがこみ上げてきて、身体が勝手にヒクヒクと動いた。
震える唇を噛みながら、俺は頭を横に振った。
雅「ヤダっ…ヤダよ、翔ちゃんっっ…っ」
俺は翔ちゃんの服を掴みながら、目の前の肩に顔を埋めた。
そして、ヒクヒクと肩を震わせて翔ちゃんの服に涙を染み込ませた。
翔「…雅紀、ニノっ…今までありがとなっ…」
翔ちゃんは、肩で泣く俺の背中に手を回して、片手で俺を抱きしめた。
和「何言ってんのっ…翔ちゃんっっ…」
翔「…俺さっ…おまえらと出会えてっ…マジで良かったっ…。今まで、ホントに楽しかったよっ…」
まるで、別れの言葉のようなセリフを吐いた。
雅「やめてよ、翔ちゃんっっ…そんなこと言わないでっっ…」
翔「…きっともうっ…伝えることも出来なくなっちゃうだろうからさっ…」
そう言って翔ちゃんは、俺の肩を掴んで自分から引き離した。
翔「…行けよ」
雅「えっ…」
翔「…俺の頭が狂う前にっ…早く行けよ」
雅「ヤダっ…！！」
翔「…おまえらを殺したくねぇんだよっっ…」
雅「翔ちゃんっっ…！！」
翔「…俺に殺されてぇのかよぉッ！！」
真っ赤な目で俺を睨みつけた。
翔「ニノっ…雅紀を頼むっ…」
和「えっ…」
翔「…おまえが雅紀のそばにいてやって…。俺は潤と智くんのそばにいるからさ…」
和「………」
翔「おまえなら、どうするべきか分かんだろッ‼‼」
翔ちゃんが強い口調で言うと、ニノが俺のそばに寄ってきて、俺の腕を掴んだ。
和「…行くよ、雅紀」
雅「えっ」
有無を言わさず、俺を無理やり立たせた。
和「翔ちゃん…俺はずっと友達だから。また必ずどっかで会おうね」
翔「当たり前だろっ…？待ってるわ」
和「…じゃあね……翔ちゃん」
ニノに力いっぱい腕を引かれ、遠くなっていく翔ちゃんを、俺は見えなくなるまでずっと見続けていた。
俺の腕を引いて走るニノからは、鼻をすする音が聞こえていた。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2021年2月6日 0時
