狂人島【オワリの始まり編】 (ページ22)

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連鎖③ ページ22

バァンッと再び銃声が響いた。

弾は渡辺さんの左腕に命中した。

バァンッッ

再び発砲音。

今度は右の太ももに命中。

渡辺さんは苦痛に満ちた顔で呻き声を上げた。

それを潤くんは満足げな顔で見ている。

そして更に、渡辺さんの首に銃口を突きつけた。

潤「その顔、最高だな。イテーだろ？だが安心しな。次であの世に逝かせてやるからよ」

そう言ってニヤリと笑った。

次も容赦なく撃つだろう。

だけど、これ以上渡辺さんが撃たれる姿を見るのは嫌だ。

もう嫌だっ・・！！

雅「潤くん、やめてっっ！！」

振り絞って出した俺の声に反応して、潤くんがチラリと俺の方を見た。

無表情のまま、俺を見つめる。

思いとどまってくれたのだろうか。

僅かな期待を込めて、俺も潤くんを見つめ返した。

潤「コイツを殺ったら、次はテメーの番だから待ってろ」

潤くんは氷のような目つきで言った。

今まで親友として一緒に過ごしてきた俺に…

あの友達思いの潤くんが…

どんな時でも友達を大事にする、あの潤くんが…

潤くんが…

こんなの潤くんじゃない

俺達の知っている潤くんはもういない。

いま目の前にいるのは狂人と化した、ただの殺人鬼だ。

地面に視線を下ろすと、さっき翔ちゃんが渡辺さんを脅すのに使っていたサバイバルナイフが落ちている。

潤くんは、再び渡辺さんの方へ視線を戻し、銃口を突きつけている。

俺は、落ちているサバイバルナイフに向かって、フラフラと歩いていった。

そして、そのナイフを拾った。

目を閉じて、潤くんの言葉を思い出す。

『今後もし俺が感染したら、その時は容赦なく俺を殺してくれ』

ゆっくりと目を開けた。

右手に持っているサバイバルナイフをグッと握り締める。

俺の目から、涙がツーと伝った。