狂人島【オワリの始まり編】 (ページ19)

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絶対に連れて帰る② ページ19

大ちゃんの身体にはもう…あの虫が群がっていた。

大ちゃんの遺体にはもう、あの虫が集まってきていたんだ。

その大ちゃんの身体を抱きかかえる潤くんの腕にも、赤い羽根の虫が数匹止まっていた。

雅「潤くんっっ、腕っ！！！」

急いで声をかけた。

だけど潤くんは、振り払うことも振り向くこともせず、黙って大ちゃんを抱きしめている。

翔「潤っ！！腕に虫とまってんだよっっ！！早く追っ払えよッ！！」

翔ちゃんが声をかけても、潤くんは振り払おうとしない。

和「あっ…あれっ…！」

ニノが、潤くんがいる場所の地面を指差した。

潤くんの近くに、赤い羽根の虫が1匹落ちている。

その虫は動かない。

死んでいるのだろうか。

その虫の死骸を数秒眺めた後、俺はあることを思い出し、血の気が引いた。

五十嵐さんが虫に刺された後、その虫は死んでいた。

ミツバチのように、一度刺したら死ぬ虫なんだ。

その虫の死骸が潤くんのそばに落ちているってことは…

俺の心臓の動きが一気に早くなった。

和「J・・嘘でしょ・・？まさかね・・？」

ニノが声を震わせながら潤くんに近づいていった。

潤「来るなっ…！！」

潤くんが俺達に背を向けたまま言う。

潤「みんなっ…こっちに来ちゃダメだっ…！！離れてっ…」

潤くんの声が涙声だった。

雅「潤くんっ…！！」

翔「潤っ…！！」

彼は、俺達が近づくことを拒んだ。

やっぱりあの虫にっ……

そう思っていた時、背後からカチャッと音がした。

なんだか嫌な予感がして恐る恐る振り返ると、渡辺さんが潤くんに向かって、拳銃を構えていた。